「ゾンビが頭を撃たれたら死ぬ、という設定には納得いかない!」ギャグ、エロ、童貞……異色の“相原ゾンビ”ができるまで
#映画 #インタビュー
『コージ苑』や『かってにシロクマ』といったギャグ漫画のイメージが強い相原コージによるゾンビ漫画、ということで話題となっている漫画『Z~ゼット~』。
相原コージらしく、これまでのゾンビ漫画やゾンビ映画にはなかったギャグ、エロ、童貞などさまざまな要素を盛り込んだエピソードを描き出している本作が、『リング0 バースデイ』『POV~呪われたフィルム』といったガチのホラー映画を多数手がけてきた「Jホラーの先駆者」鶴田法男監督の手で『Z~ゼット~果てなき希望』として実写映画化!
こ……これは予測できなかった、まさかのコラボレーション! 果たして鶴田監督によって、「相原ゾンビ」がどんな感じで実写化されているのか!? 原作者である相原コージ氏に訊いた。
■『ゾンビは頭を撃たれたら死ぬ』というのは納得いかない
――まず漫画の『Z~ゼット~』の話から伺いたいんですが、あとがきでも「もう50歳になるし好きなもん描いちゃおー」なんて書かれていましたけど、前々からゾンビ漫画を描きたいと思っていたんですか?
「もともとジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』が好きでしたし、その気持ちはあったんでしょうね。『真・異種格闘大戦』という連載が終わって、次にどんなものを描こうかといろんなネタを考えてた時に、ほかにも20個くらい候補があった中で、ゾンビ物が一番、アイデアが出たんで。でも、ロメロゾンビの『ゾンビは頭を撃ったら死ぬ』という設定に関しては、ずっと疑問があって……」
――好きだけど、納得していない部分があったと。
「頭が破壊されるっていうのはビジュアル的にも過激でいいんですけど、ゾンビって死んだ人が蘇ってきたものじゃないですか。それがもう一回死ぬってどうなんだろう? 死んだ人が蘇ったら、もう死なないんじゃないの? ……って。そこは、初めてロメロの『ゾンビ』を見た時からひっかかってたんですよね」
――本作で出てくる「何をしても死なないゾンビ」という設定は、ストーリー展開上の都合で生まれたわけじゃなくて、設定のほうが先にありきだったんですね。
「はい、自分の中で納得できる設定のゾンビを生み出そうというところからスタートしています。ほかにも、ゾンビの影響を受けるのは何も人間だけじゃなくて、すべての動物にも及ぶんじゃないか……とか」
――さらに、オムニバス形式でさまざまな人や時期をピックアップして描かれているというのも、珍しいですよね。
「それは、連載している『別冊漫画ゴラク』(日本文芸社)という媒体の特性からですね。ゾンビ漫画に関するアイデアがいろいろと浮かんできて、当初はそれをつなげて長編にしようと思っていたんですけど、同時期に『漫画アクション』(双葉社)でも連載をやってたんで。ボクはもともと非常に筆が遅いので、もうひとつ月刊で連載するとなると、そんなにページ数を描けないなと。10ページくらいの月刊連載で、毎回引きを作る必要のある長編というのは大変なので、考えていた断片的なエピソードをそれぞれ短編で描いちゃおうかなと。月刊誌だからこそ、こういう形式になったということですね」
――エピソードによって、ゾンビの発生初期、中期、後期……と時系列がバラバラなのも面白いと思いました。
「ゾンビが発生しだしてから、ゾンビがメチャクチャ増えちゃった時期、そしてそれが落ち着いてくる時期と、長いストーリーの中で時系列に合わせて描こうと思っていたんですけど、それを短編オムニバスにすることにしたので、もう時系列はバラバラでもいいかなと」
――だから連載で読んでいる時と、単行本でさまざまな時期をまとめて読んだ時とで印象が違いますよね。
「結果的にそれでよかったのかなと思います。今、ゾンビ漫画がちょっとはやっていて『アイアムアヒーロー』(著・花沢健吾)とか『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ -童貞SOS-』(著・すぎむらしんいち)とかいろいろありますけど、みんな長編作品なんで、オムニバスにすることによって差別化は図れたかなと。あとは、ゾンビが増殖した、この漫画でいう“中期”に当たる部分をメインに描いちゃうと、わりと普通になっちゃうんですよね。普通のゾンビ映画、ゾンビ漫画って大体そこを描いているんで。短編オムニバスだと、あまりストーリーの流れを考えず、エピソードごとにどんどん描きたいアイデアを入れ込んでいけるのもいいですね(笑)」
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