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コピーされたのは相手なのか? それとも自分なのか――? サスペンス劇『複製された男』

fukusei.jpg『複製された男』(C) 2013 RHOMBUS MEDIA (ENEMY) INC. / ROXBURY PICTURES S.L. / 9232-2437 QUEBEC INC. / MECANISMO FILMS, S.L. / ROXBURY ENEMY S.L. ALL RIGHTS RESERVED.

 今週取り上げる最新映画は、自分と瓜二つの人間を見つけた男の不安と運命を描くサスペンス劇と、飛行機が主人公の人気アニメの続編。表現手法も雰囲気も大きく異なるが、アイデンティティーと社会的役割についての示唆に富むという共通点もある。


 『複製された男』(R15+/7月18日TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー)は、『ブロークバック・マウンテン』のジェイク・ギレンホールが1人2役で主演した不条理ドラマ。大学の歴史講師アダムは、たまたま鑑賞した映画の中で、自分とそっくりの俳優アンソニーを発見する。アダムは取りつかれたように、アンソニーの過去の出演作をすべて確認し、住所を突き止め、ついに対面。2人は顔、声、体格、生年月日、さらには事故で負った傷跡までもが同じことを知る。アダムの恋人(メラニー・ロラン)、アンソニーの妻(サラ・ガドン)を巻き込みながら、2人は後戻りできない危険な領域へ踏み込んでいく。

 ポルトガル唯一のノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説を原作に、『灼熱の魂』のドゥニ・ビルヌーブ監督が映画化。ヒッチコックの『めまい』やキューブリックの『アイズ ワイド シャット』といった巨匠たちの作品を思わせる風格を備え、デビッド・リンチやデビッド・クローネンバーグの諸作のような不条理感も濃厚に漂う。ミステリーに対して明快な謎解きが示されないので、答えを知ってスッキリしたい人には不向きだが、夢と覚醒、虚構と現実の境界のあいまいさや、幾通りもの解釈を考えて楽しめる人にはオススメの佳作だ。

 『プレーンズ2 ファイアー&レスキュー』(2D/3D上映・7月19日公開)は、農薬散布機のダスティが世界一周レースに出場して奮闘する姿を描いたディズニーアニメ『プレーンズ』の続編。レーサーになる夢をかなえ、連戦連勝のダスティだったが、故障でレースに出場できなくなり、さらには自らが招いた火事で拠点の空港が閉鎖の危機に。責任を感じたラスティは、空港再開の条件である消防士の資格を取るため、雄大な峡谷で活躍する消防レスキュー隊に入隊する。厳しい訓練に励むある日、大規模な山火事が発生。ダスティは仲間たちとともに、命がけの救助活動に臨む。

 ピクサー・アニメーション・スタジオの人気CGアニメ『カーズ』の世界観から生まれた本シリーズ。前作に続き、『カーズ』の生みの親であるジョン・ラセターが製作総指揮を務めるが、制作はディズニーグループの新鋭、ディズニートゥーン・スタジオ。本作では、生き生きとした飛行機キャラたちの活躍に加え、独自開発の新技術で表現したという火災の炎や煙のリアリティが素晴らしい。航空機や森林火災消火活動についての入念なリサーチが反映されている点もポイントで、子どもだけでなく大人でも興味深く鑑賞できるウェルメイドな娯楽作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『複製された男』作品情報
<http://eiga.com/movie/79833/>

『プレーンズ2 ファイアー&レスキュー』作品情報
<http://eiga.com/movie/79981/>

最終更新:2014/07/18 18:00
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