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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 本当のヒロインはミッチー?
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第61回

本当のヒロインは及川光博? キスマイ玉森主演『信長のシェフ』のケレン味

nobunagas.jpg『信長のシェフ』テレビ朝日

「おもしろ時代劇です!」

 及川光博は、『信長のシェフ』(テレビ朝日系)をそう形容している。

『信長のシェフ』は、平成のフレンチシェフ・ケン(Kis-My-Ft2玉森裕太)が戦国時代にタイムスリップし、織田信長の料理人として生きていく物語である。2013年1月から深夜枠で放送されていたが、今年7月よりゴールデンで第2シーズンが始まった。

 もちろん物語が分かりやすく面白いというのもあるし、主演の玉森の好演も光る。だが、なんといってもその好評の大きな要因となっているのは、織田信長役を演じるミッチーこと及川光博の怪演だろう。

「人生で一度は信長を演じてみたかった」という及川は、実に楽しそうに「美味じゃ!」「フハッハッハ!」などと、ケレン味たっぷりに信長を演じている。必要以上に「バッサー!」とマントを翻しながら。かと思えば、突然、河原で「人間五十年~♪」と敦盛を舞ったりする。訳が分からないが、もう笑うしかないトンチキっぷりだ。

 及川が「おもしろ時代劇」というように、同作は史実とフィクションのバランスが絶妙だ。時代考証でがんじがらめになった昨今の時代劇とは一線を画している。合戦のさなか、ケンが焼肉を焼き、その匂いで敵の戦意を喪失させ、織田軍を勝利に導いたりするトンデモ展開。そして、信長の命を狙うのは毒が盛られた“地獄のマカロン”……。そんな中で、「岐阜へ戻る途中に信長が狙撃された」などという細かい史実のエピソードが描かれたりすると、思わずニヤリとしてしまう。ちなみに主人公のケンは、現代からタイムスリップしてきたため、歴史がどうなるかを知っているが、その知識はごくごく一般的なもの止まり。「もうちょっとちゃんと日本史の授業受けていれば……」と嘆くケンは「本能寺の変」は知っているが、「松永久秀」が誰で何をした人物なのかは知らない。多くの視聴者と同じか、少し知識がないレベル。そのあたりも巧妙だ。

 そんな物語を彩るのが、キャラの濃い登場人物たち。クールでミステリアスなくノ一の楓を演じるのは芦名星。家康はカンニング竹山。秀吉を演じるのはゴリ。サル顔というよりはゴリラ顔だが、ハマっている。稲垣吾郎は明智光秀。唯一、ケンが未来から来たことを察するキレ者で、何を考えているのか分からない男だ。

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