大島優子、前田健太、黒木メイサ……ゆとり世代の仕事論『「情熱大陸」800回記念 ぼくらは、1988年生まれ』
#本 #前田健太
1988年に生まれた彼らは、今年26歳を迎える。大学を卒業した者であれば、社会人3~4年目。いまや社会の一翼を担う存在になりつつある。では、いったい、その仕事観とはどのようなものだろう?
「仕事とは『仕事じゃない』と思います。野球は仕事ですけど、仕事だと思ってやってないんです。仕事だと思うと、楽しくなくなってしまうと思うから。変な言い方かもしれないですけど、仕事って自分のためにやるものだと思うので」(前田)
「仕事は、自分の人生の中で大きくとらえた時に、豊かにしてくれるもののひとつですね。特に俳優の仕事って、出会いと別れと再会がものすごく多いんですよね。それは人なのか作品なのか、役なのかものなのか、いろいろあるんですけど、その瞬間、その瞬間に自分が受ける感動が、自分を豊かにしてくれるということですかね」(俳優・松坂桃李)
と、仕事に「自己実現」を求めている者が多い中、バイオリニストの五嶋龍は、「嫌でもやること」「夢やパッションだけでは仕事はできない」と、その語り口はあくまでドライ。当然のことながら、ゆとり世代の仕事論も、立場によってさまざまなのだ。
彼らへの取材を通じて、1969年生まれのプロデューサーの大島新は、「放っておけば、自分の親世代よりも貧しくなってしまうという、日本の歴史の中でもかつてない時代を生きる若者たちは、自らの将来を先行世代よりも真剣に考えたはずだ。(中略)この世代には地に足をつけて、一歩一歩前に進んでいる若者が多いに違いないと感じた」と、彼らに対する理解を示している。
日刊サイゾー読者の中にも、ゆとり世代の後輩に手を焼いている人は少なくないかもしれない。しかし、「これだからゆとり世代は……」と乱暴な世代論を振りかざすのではなく、彼らの声に耳を澄ましてみてはいかがだろうか。一見クールに見える彼らにも、もしかしたら本書に登場する8人のように、熱い哲学が潜んでいるかも?
(文=萩原雄太[かもめマシーン])
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