大島優子、前田健太、黒木メイサ……ゆとり世代の仕事論『「情熱大陸」800回記念 ぼくらは、1988年生まれ』
#本 #前田健太
「ゆとり世代」は、とにかくイメージが悪い。言われたことしかしない、すぐにめげる、飲みニケーションが不得手……と、先行世代は、あたかもその時代に生まれた全員の罪であるかのように断罪し、「これだから『ゆとり』は……」の決めゼリフで、個人の資質をむやみな世代論に広げてゆく。
『僕らは1988年生まれ』(双葉社)は、ドキュメンタリー番組『情熱大陸』(毎日放送)800回記念として放送されたインタビューを書籍の形にまとめた一冊だ。1988年に生まれた彼らは、ゆとり第2世代といわれている。俳優の東出昌大、広島カープの前田健太、女優の黒木メイサ、サッカー日本代表の吉田麻也、先日AKB48を卒業したばかりの大島優子などなど、各界の著名人たちが「1988年に生まれた自分」を語り、「ゆとり世代」とくくられることに対する自分なりの回答を述べてゆく。
それぞれのインタビューに共通しているのは、「ゆとり」として語られることへの違和感だ。
「プライベートで出会う中で、それこそ20歳未満でもしっかりしてる子はたくさんいるし、上の世代でも、どうなんだろうと思う人もいる」(東出)
「う~ん……まぁ、ゆとり世代ということで一括りにするのはよくないな、と思います。人によって仕事に対する姿勢も違うと思いますから」(黒木)
「上の人から僕らの世代を見て『ゆとりだから』と言われるのは、すごくシャクに感じるんです。ゆとりの中でも出てくるヤツは出てくると思うし、別にゆとりじゃない世代にだってどうしようもないヤツなんていっぱいいるわけで、一括りにされるのはちょっと腑に落ちないという気持ちもありますよね」(吉田)
「しらけ世代」「新人類」「ロスジェネ」などなど、世代に対するレッテルは、いつも別の世代から一方的に貼り付けられるもの。彼らが、「ゆとり世代」という言葉遣いに対して疑問を投げかけるのは当然だろう。しかし、そんな乱暴なレッテル張りに対してすらも肯定的に捉えているのが、大島優子だ。
「それが時代の象徴になっているからいいと思うんです。そのとき時の世代で『ゆとり世代』『団塊の世代』って言われてるじゃないですか。
(中略)
ゆとり世代というと、一括りにするにはあまりに多くの人たちが含まれているので、一概には言えませんが、世代ごとに特徴があると思うので、その特徴をいかしていけばいいと思うんです。上の世代の良いところはできるだけ踏襲しつつ、別の形で力を発揮していけば大きな力が生まれると思います」
と、「ゆとり世代」に偏見を抱く人々のさらに上を行く、寛容なまなざしを投げかけているのだ。
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