「やり続けなアカン」人気芸人“世界のナベアツ”を動かした、桂文枝の情熱と落語の魔力
#お笑い #インタビュー
――注目度も高いですしね、初回は……
三度 勘弁してください、もう!
――すみません(笑)。実際にこの「戀する落語会」を楽しむにあたり、これだけは押さえていたほうがいいという知識やマナーなどはありますか?
三度 漫才のネタと違って落語は、笑いはないけど後半のために仕込んでるネタがあるんですね。前半、これ全然笑えないなと思ってても、後半は何かあるんやろなと思って許したってください。
――細かいボケをちりばめていく漫才やコントに慣れていると、落語のその仕込みの時間は相当長く感じそうですね。
三度 このネタのこのお話は、前半にまったく笑いがない。ネタふりやから。ウケへんのは分かってる。だけど、実際やってみると「あれ……俺、いま宇宙におんのかな」っていうくらい静かなんで、めっちゃ怖いですよ(笑)。僕ね、芸人の中でもトップクラスで汗かかない自信あったんです。体質的に芸人に向いてんな~、よかったな~って思ってたんですよ。だけど落語家になってから、ワキ汗が止まらない(笑)。
――すごい、体質まで変えてしまうとは……
三度 ホンマえげつないですよ。宇宙ですもん……ゼロ グラビティです。ジョージ・クルーニーのいないゼロ グラビティ(笑)。
――でも、落語のそういう仕組みが分かってくると、見る側ももっと楽しめるのかもしれませんね。
三度 漫才もコントも素晴らしいところはたくさんありますけど、落語は落語で「あ、このタイプか」とか「あの話に似てるな」とか探っていくと、とても楽しいなとは思います……が! そんなことはホンマ考えんと、ただただ楽しんでほしいです。
――もっとオープンな気持ちでいいんですね。
三度 お客さんが楽しんでるのを見ると、やる側もノッてきます。
――芸人から落語家へ転身した方として、月亭方正(旧芸名・山崎邦正)さんがいらっしゃいますが、方正さんが落語家になると聞いてどう思われましたか?
三度 正直、「わ~、先行かれた!」っていう気持ちが大きかったですね。それでまた(入門が)遅れたというのも実際ありました。これじゃあ、方正さんの後追いやな~と。
――方正さんは40代になったら芸で人を笑わせたいという思いが強かったと、以前取材をさせてもらったときにおっしゃっていたのですが、三度さんも「今まで笑わせられなかった層を笑わせたい」というような気持ちはありますか?
三度 いや、もう自分のことしか考えてないです。すんません(笑)。そりゃあ、今まで誰も成し遂げられなかった、おじいちゃんも笑ってる、子どもも笑ってる、若い男女も笑ってるというのが理想ですけど、今はもう自分のことで精いっぱいですね。落語家になったのもホンマに身勝手ですから。自分の足を地に着けたいという。
――今回の落語家転身もそうですが、三度さんは築き上げたものを壊していく、安定したものを捨て去るというイメージがあります。
三度 そんなことないんですよ。いま振り返ったら「あんときのアレもっと続けとったら、お金がもうちょっとあったかもしれない」とかホンマ思います。もったいなかったな~と。
――でも、挑戦してしまう……
三度 僕はこれから絶賛金儲けするつるもりですよ! 今はまったくないですけど!「お金じゃないねん」とかカッコイイことは言わないです。めっちゃ儲けたいし、儲かるためには……っていう逆算もしますしね。ただ、現実は「戀する落語会」のプレッシャーでハゲそうで、儲かるどころではありません!!
(取材・文=西澤千央)
■『神保町花月 ~桂文枝プロデュース~ 戀する落語会 パートI』
開催日時:6月8日(日)14時00分開演 ~16時05分頃終演予定
場所:神保町花月(東京都千代田区神田神保町1-23 神保町シアタービル2F)
<http://www.yoshimoto.co.jp/jimbocho/>
出演:桂文枝、桂三若、桂三四郎、桂三輝、桂三度、桂三実
ゲスト:たむらけんじ、ミサイルマン西代
チケット料金:前売3,000円 当日3,200円
チケット発売 5月15日10時~発売開始
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