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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 「世界のナベアツ」はいま――
『神保町花月~桂文枝プロデュース~戀(こい)する落語会』開催記念インタビュー

「やり続けなアカン」人気芸人“世界のナベアツ”を動かした、桂文枝の情熱と落語の魔力

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――“いいテレビタレント”というのは、どんなイメージでしょうか?

三度 具体的にはちょっと伝えにくいんですが、僕は恥ずかしながらコンビを2回解散してるんですね。1回目の解散は相方から言われて、これから自分はどうしよう、ピン芸人続けるのもええけど、なんか少し違う気がすると。デビューしてからずっと、自分がふわふわしてるのが嫌いやったんですね。それで、その時に脳裏に浮かんだのが放送作家と落語家でした。当時はいろいろな理由で作家を選ぶわけですけど、そんなこんなで作家も何年かやって、コンビも再結成して、昔よりテレビにも出られるようになりました。だけど、まだふわふわしてる。地に足は着いていない。この隙間を埋めるにはどうしたらええかなって思ったときに、前から興味があった落語に……本当に勘でしかないんですけど。だから僕にとってのいいテレビタレントというのは、地に足がしっかり着いている人ですね。下半身どっしりしてるけど、上半身はものすごく軽やかに動くみたいなイメージですね。

――月並みな言葉ですが、「ブレない」ということでしょうか。

三度 そうです。僕自身がブレまくりなんで(笑)。もう、ほんまになんとかしたいんですわ。

――この3年で、そのふわふわは少しずつ埋まっていっている実感はありますか?

三度 う~ん……あるって言いたいんですけどね、全然ないですね。いや、ほんまにね、なまりも含めたしゃべりのクセや間の取り方のクセを直す作業で終わってしまいました。だから、まだ気持ち的には1年目です。何年かかんねんと。自分が落語家として納得するのは、だいぶ先のことでしょうね。そのときたぶん、年金もらってると思います(笑)。

――師匠がいるという経験も初めてですか?

三度 初めてです。弟子入りするまで師匠のことはまったく怖なかったんですけどね、今めっちゃ怖いですもんね。緊張するし。言うたら父親ですし。

――師匠から言われた言葉で、心に残っているものはありますか?

三度 そうですね……ここはええこと言いたいですね(笑)。

――期待してます!(笑)

三度 ……僕がなぜ師匠に付いたかというと、師匠が月1回やってるレギュラー番組があったんです。『三枝一座がやってきた!』(NHK)という、地方の市民会館を回って公開録画する番組です。で、僕は「世界のナベアツ」としてゲストに呼んでいただいたんです。地元の人とゲームコーナーをやったりしながら、最後に師匠がご当地落語をするんですね。その土地の名産や名所にちなんだ落語を。それは言うたらその番組のためだけにやっている落語です。それを月1回やっている、この地位も名誉もある人が。そう思ったときに、すごいなと感動しました。尊敬する方はたくさんいらっしゃいますけど、その時のインパクトが強くて、師匠に弟子入りをお願いしたんです。

 僕が弟子入りしたのは41歳。だいぶ遅いです。そしたら師匠が「焦ることはない。ただやり続けなきゃあかん。俺も20代で入ったけど、認められたのは40代や」と。テレビの世界では師匠はもう20代で大スターでしたけど、落語家として賞をもらったのは40代になってからなんだそうです。だから、どんなことがあっても、やり続けなあかん、走り続けなあかんって言われたのが、ものすごく心に残っていますね。

――なるほど……。

三度 まぁまぁいい感じにまとまりましたかね(笑)。でもホンマにね、師匠は休まないんですよ! 弟子入りしたときによく言ってはったんが、「60代は駆け抜ける、70代は休む。80代は円熟期、になったらええな」。だけど師匠、今70歳ですけど、こういう落語会を立ち上げたり、大阪でも創作落語の会をやって月1で新ネタおろしてるし、全然休む気配ありません(笑)。

――「戀する落語会」では、若手の方をフィーチャーして新たなファン層の獲得も目指していますね。

三度 それは桂文枝個人の思いでもあるし、上方落語協会会長の思いでもあるんだと思います。もちろん上方落語だけでなくて、落語会全体の思いですね。1回目は一門だけという形になりましたけど、今後は江戸の落語家さんにも出てもらいたいと師匠は考えてはるみたいです。

――で、そのオープニングを三度さんに……。

三度 「絶対成功させろよ、お前」というプレッシャーのまっただ中におります(笑)。普通だったらこれ、ストレスで毛が抜けてもおかしくないと思いますよ。

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