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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 「世界のナベアツ」はいま――
『神保町花月~桂文枝プロデュース~戀(こい)する落語会』開催記念インタビュー

「やり続けなアカン」人気芸人“世界のナベアツ”を動かした、桂文枝の情熱と落語の魔力

_MG_6816.jpg撮影=後藤秀二

 2011年、突如落語家への転身を発表した桂三度。芸人、作家、監督……多才な彼が次の挑戦に選んだ「落語」は、今までのどの分野とも異なる“くせもの”だった――。彼を落語へと導いたものはなんだったのか? 桂文枝から託された言葉とは? 神保町花月を舞台に行われる桂文枝プロデュースの落語会『戀する落語会』開催直前、トップバッターに抜擢された桂三度が、プレッシャーに押しつぶされそうな心の内を語る!

――まずは、6月から始まる『戀する落語会』について教えてください。

桂三度 これはまず、(桂文枝)師匠プロデュースで、師匠もたっぷり落語をしはるので、落語会としては絶対にお得です。たぶんお客さんには大満足して帰ってもらえると思います。ただ僕は縦軸というかストーリーテラーというか、師匠の気まぐれで任命されまして。まぁ舞台うんぬんより、舞台をやっている僕を袖で師匠が見ている……嫌ですよね。緊張しますよね。その緊張を隠そうとしている僕を、お客さんには楽しんでもらえたらなと思います。

――発表記者会見でも、師匠から随分とプレッシャーをかけられていましたよね。トップバッターということで、三度さんがコケたら後がないとか。それだけの信頼感が、三度さんにあるということなのだと思いますが。

三度 いやいやいやいやいやいやいや!

――日刊サイゾーの読者層は20代後半から30代の男性がメインで、お笑いは好きだけど落語はちょっと敷居が高い、というイメージを持っている人も多いかと思います。そこで今回は、ぜひ三度さんに上方落語の魅力を教えていただきたいと。

三度 基本、上方のほうが笑いを取りにいこうとする色があり、一方で江戸のほうがキレイに話す色があると、先輩の落語家さんが言うてはりました。たぶん初心者の方やと、素直に楽しめる上方のほうが(入り口としては)入りやすいんじゃないかなと思います。しかも、今回は柔らかくするために、僕は表向きはオープニングでスタンダップコメディをやるってなってますけど、裏の見方したらこれ、前説です。

――(笑)。

三度 「みなさん、どうぞ楽しんでってください」と。柔らかくほぐすという役です、僕は。こういうところもまた、ほかの落語会と違うポイントです。ゲストも、たむらけんじくんとミサイルマンの西代くんという、西のやわらか芸人ワンツーをそろえましたんで、とにかくとても柔らかい落語会になると思います。そして最後には、師匠がたっぷり聴かせてくれる。これをきっかけに、いろんなタイプの落語会に行っていただければうれしいです。

――三度さんは芸人、作家、映画監督など、さまざまな仕事をされてきましたが、今までやってきたものと落語の大きな違いはなんでしょうか?

三度 僕はいろいろ転職してますけど、大きくはお笑いという円の中で動いていたんです。だから自分の中では、そんなに大変なことはなかった。でも落語をやり始めて、師匠からも作っていいぞと言われて作り始めて、痛感しました。お笑いと落語では間の取り方が全然違うんです。間の取り方が違うと笑いの作り方も違ってくる。だからもう、まったく初体験のことばかり。この世界に入ったときは、大変だけどなんとかなるやろと思っていました。そしたらもう、全然違うということに気づいて。今まで一生懸命いろいろなことをやってきたのに、これじゃ芸人1年目と一緒やん! と。腹立つわ~(笑)。

――お笑いの方程式を、一回捨てなくてはならなくなってしまったと。

三度 そうなんですよ。めっちゃ難しいですよ。入門して3年になりますが、この3年は自分のクセを捨てる、笑いの取り方のクセ、しゃべり方のクセを全部捨てていく作業ですね。もう、エライ目遭うてます。

――そもそもなぜ、落語家を目指そうと思ったのでしょうか?

三度 僕はずっと、“いいテレビタレント”になりたいと思っていたんです。いいテレビタレントになるためにはどうしたらええかと思って、落語を始めた。だから、いつかこう落語をやっていることがテレビに生きたらええなと思いますけど、今んところはもうまったく関係ないですね。落語のコツがまだつかめてないので。

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