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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 売れっ子・湊かなえの断筆騒動

井上真央、綾野剛主演でヒットの『白ゆき姫殺人事件』の裏にあった、原作者・湊かなえの断筆騒動

 湊の怒りと動揺は大きく、出版各社を巻き込む大騒動にまで発展してしまう。

「『女性セブン』の版元・小学館から湊さんの本は出版されてなかったんですが、他社の担当編集者から、小学館上層部に『湊さんがこんな状態では執筆できない、と言っている。このままだと、本気で作家を辞めてしまうかもしれない。なんとかしてほしい』という苦情が入ったんです」(同)

 湊は『告白』がダブルミリオンになり、他作品も軒並みヒットという、出版不況のご時世に貴重な売れっ子作家だ。その湊に“断筆”騒動が持ち上がったことで、当時、出版各社はパニック状態に陥っていたという。

 当然、小学館としてもなんらかの対応をせざるを得なくなり、結局、「女性セブン」側が湊の住む淡路島に謝罪に出向いた。

 こうした編集者たちの必死の慰留、ケアが功を奏したのか、実際に湊が“断筆”することはなかった。そして体験をもとに2011年4月から連載を始めたのが、現在映画公開中の『白ゆき姫~件』だということらしい。

 だが、湊が実際に体験した取材は『白ゆき姫~』と比べれば、至って穏当なもの。いささか対応がオーバーな感じもしないでもないが、しかし、彼女の作品の最大の特徴は、誰にでも起こるかもしれない身近な出来事から、人々の心の闇、裏側をあぶり出していくというもの。そういう意味で、自身の「ご近所ウワサ話取材」という体験に彼女自身が過剰とも取れる反応を起こすのは、その類いまれな想像力のたまものともいえるだろう。

 しかも、その体験を後にきちんと作品の中で昇華したわけだから、湊かなえという作家はちょっと面倒臭いところも含めて、今どき、貴重な“作家らしい作家”というべきかもしれない。

最終更新:2014/05/23 12:17
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