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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.270

“義妹萌え”をポップでフェティシュに実写化!『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』

imocho_movie01.jpg人気コミックの実写化『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』。高校生の美月(橋本甜歌)の股間に貞操帯(T・S・T)が妖しく食い込む。

 最近、角川映画のようすがちょっと気になるのだが。角川書店と合併してKADOKAWAに社名変更し、現在はブランド名としてのみ残る角川映画だが、壇蜜の初主演作『私の奴隷になりなさい』(12)がロングランヒットを記録して以降、かなりの独自路線を突き進んでいる。『私の奴隷』は壇蜜の写真集やメイキングDVDも同時期にリリースするという角川映画の伝統芸・メディアミックス効果もあり、“壇蜜”という一種の社会現象を生み出した。続いて佐々木心音主演の官能ファンタジー『フィギュアなあなた』(13)、さらに過激さを増した壇蜜主演のSM映画第2弾『甘い鞭』(13)、桜庭一樹原作のライトノベルを芳賀優里亜主演で映画化した『赤×ピンク』(6月18日DVDレンタル開始)とR指定の異色作を次々と公開。どれも主演女優が大胆なフルヌードを披露していることで共通している。5月17日(土)より劇場公開される恋愛コメディ『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』は、『天才てれびくんMAX』(NHK教育)などで活躍した元ジュニアアイドルの橋本甜歌を主演に抜擢。テレビアニメ版ではヒロインの自慰シーンなどがBPO(放送倫理・番組向上機構)で審議された問題作に、橋本甜歌はまさに裸で勝負している。

 『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』、略称『妹ちょ。』は、高校生の美月(橋本甜歌)と同じ高校に通う夕哉(小林ユウキチ)が親同士の再婚によって同じ屋根の下で暮らし始めるというベタすぎるくらいベタな“義妹萌え”の世界だ。家族が増えたことを素直に喜ぶ夕哉に対し、人づきあいが苦手な美月はよそよそしい態度しかとれない。両親が別れれば、また孤独な生活に戻ることになる。それなら最初から仲良くしないほうがいいと。そんな美月に、交通事故に遭ったものの成仏できないという自称幽霊の寿日和(繭)が取り憑いてしまう。内向的な美月に比べ、日和は幽霊と思えないほどポジティブな性格。優しい夕哉に恋心を抱いており、この想いが叶えられれば成仏できるとのこと。日和が憑依した美月は、素っ裸で夕哉の寝床に潜り込むなど“危ない妹”に大変身。しかも、股間には日和が成仏しないと外れないという貞操帯(T・S・T)が装着されている。ビザール調の貞操帯が、美月の股間で妖しい黒光りを放つのだった。

 実写化するには、あまりにもベタすぎる『妹ちょ。』の世界。この企画を成立させるために呼ばれたのが、人気カメラマンの青山裕企氏だった。『スクールガール・コンプレックス』『絶対領域』『パイスラッシュ −現代フェティシズム分析−』などフェティッシュな写真集で知られる青山氏を監督に起用したことで、『妹ちょ。』は下世話なエロ映画になるギリギリのところでポップさと思春期の危うさを漂わせる作品に踏み止まった。共同監督を務めたのは伊基公袁(IGGY COEN)氏。日大芸術学部監督コース卒業、TVディレクターを経て、AV監督になったというプロフィールの持ち主。エロティックさとコメディを両立させる演出力が評価され、青山氏と共に監督デビューを果たすことになった。

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