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本多圭の「芸能界・今昔・裏・レポート」

『失楽園』川島なお美は“枕営業”だった──女と銀座を愛した作家・渡辺淳一さんを偲ぶ

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芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!

 直木賞作家の渡辺淳一さんが4月30日、前立腺がんのために死去した。享年80歳。渡辺さんは、テレビドラマ版『失楽園』に主演した川島なお美が今年3月、肝内胆管がんの手術を受けていたことが報じられた際、激励のメールを送っていたという。渡辺さんと川島は、ドラマの原作者と主演女優という単純な関係ではなかった。文壇タブーとして闇に葬られてきたが、2人が不倫関係だったことは有名な話だ。


 川島は、青山学院大学在籍中に芸能界デビュー。“キャンパスクィーン”としてブレークしたが、その後、筆者の取材により、大学のテストでカンニングしていたことが発覚。同時にマネジャーとの男女関係も明らかになって、イメージに傷がつき、人気が凋落。ローカル局制作の『お笑いマンガ道場』のレギュラーとして細々と活躍していたが、色物タレント扱いされることに抵抗を感じ、女優を目指した。

 その頃、知り合った出版関係者に「女優になるには、渡辺先生に近づくのが近道」とアドバイスされたというウワサもあったが、実際、文学界とはまったく縁がなかった川島が渡辺さんの出版パーティーで目撃され、出版関係者を驚かせた。その直後、ヒット小説『失楽園』の映画化の話が決まり、主演女優に黒木瞳と川島の名前が挙がった。女優経験の浅い川島の名前が挙がることに不自然さを感じる向きもあったが、答えは単純だった。川島は、今でいう“枕営業”で渡辺氏に急接近していたのだ。

 その裏付けとして、1996年10月に発売された月刊誌「噂の眞相」(休刊)が2人の“北海道不倫旅行”を報じたが、大手メディアはどこも後追いしなかった。実は「噂の眞相」より前に、新潮社の写真誌「フォーカス」が、2人が都内のホテルで密会し、部屋で抱擁&キスをしているところを撮影するという、動かぬ証拠を握ったのだが、渡辺さんは新潮社から何冊も作品を発表している“大先生”。結果、文壇タブーに触れることになり、掲載は見送られた。この時、不倫が闇に葬られたことで、川島は映画ではなく、日本テレビがドラマ化した『失楽園』の主演に大抜擢されることになったのだ。

 また、渡辺さんは銀座をこよなく愛する作家でもあった、筆者も銀座のクラブでたびたび目撃した。中でも、渡辺さんは文壇バー「S」の常連で、川島を映画版『失楽園』の主演に選ばなかったことについて、「愛人であることは認めるが、彼女が女優というのは認めない」と厳しい批評をしていたという。それでいながら、『失楽園』だけでなく、ドラマ化した自身原作の『くれなゐ』の主演にも抜擢した。さらに、2人の不倫関係は2年で終止符が打たれたが、ドラマで女優として成長した川島を見て、渡辺さんは、これも自らが原作の『メトレス・愛人』の映画化を川島主演ということで許可。川島は00年に、念願の銀幕主演を果たした。

 不倫関係に陥らなければ、今の彼女はなかっただろう。いわば、渡辺さんは“女優・川島なお美”の育ての親といっても過言ではない。自らがんに侵されながら、川島に激励メールを送った心優しき渡辺さんに合掌!
(文=本多圭)

最終更新:2014/05/13 12:00
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