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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 陣内智則の「2つの顔」
お笑い評論家・ラリー遠田の【この芸人を見よ!】第119回

陣内智則 “大女優との離婚”で受け入れた「ありのままの2つの顔」とは

 だが、陣内はそこから立ち上がった。先輩芸人たちが彼に「イジり」という救いの手を差し伸べたのだ。なぜ離婚したのかとしつこく尋ねられて、陣内は力強く「浮気、山ほどしたからや!」と返した。怒濤のイジりラッシュに、陣内も負けじと応戦する。開き直って離婚騒動を笑いに変えたとき、陣内は1つ上のステージに達した。

 おそらく、離婚前の陣内は、自分の天然キャラをイジられることを心のどこかで受け入れられていなかったのだろう。自分がイジられるのは理不尽だと思う気持ちが多少なりともあったからこそ、そのイジりに全面的に乗っかることができなかった。

 だが、離婚騒動によって彼は「空前絶後のイジられキャラ」へと押し上げられた。イジられるしかない状況に追い込まれたら、それを受け入れて一つ一つ打ち返していく以外に生きる術はない。このとき、「怒濤のイジりをスマートに返す」という形で、陣内の中の2つの人格が1つになった。

 今の陣内はもう、ただの器用なキャラでもなければ、ただの天然キャラでもない。離婚騒動でタレントとしての好感度は下がったかもしれないが、芸人としての好感度は間違いなく上がった。

 「大女優との離婚」という人生を懸けた大ボケによって、2つのキャラクターのギャップが埋まった。『アナと雪の女王』よろしく、陣内は開き直って「ありのままの姿」を見せることでありのままの自分になることに成功したのだ。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)

最終更新:2014/05/11 15:00
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