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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > バベルの『タワー丼』がうまい
ホントにうまいのか? 珍級グルメハンター第20回

下町の丼は万国共通語! 神をも恐れぬバベルの『タワー丼』

chinkyu0508_3.jpg

 その青白い輝きは、天から地上に舞い降りた、青白いレースをまとった天女なのか、それとも、地上から遥けく天を目指して創造された現代のバベルの塔か……。
 
 んなこたぁどうでもいいが、下町のランドマーク・東京スカイツリーが5月22日で開業から早くも2周年を迎えた。地上450メートルの第二展望台から上から目線で東京の街を見下ろした人も少なくないだろう。

 しかし、聞くところによると、スカイツリー人気にあやかれているのは隣にあるショッピングモールくらいで、肝心の地元商店街に落ちる観光マネーは意外なほど少ないという。

 そんな商店街の一画にあるそば屋でこんなメニューを見つけた。

chinkyu0508_2.jpgスカイツリーオープン時には数多くのあやかり商品が誕生したが、この「穴子のパワータワー丼」もそのひとつで今も現役だ。

 どんぶりからニョッキリと天空目指して立ち上がり、ついには上空の雲にさえ突き刺さっている約30センチの細長い天ぷらの正体、それは江戸前の穴子だ。

 その上空にぽっかりと浮かぶ雲らしきものは、そばの天ぷら。もちろん、穴子の足元にはしっかりと、ご飯とかき揚げが鎮座している。

 どう、安心した? 

 何がって、メインが甘かったり酸っぱかったりするミスマッチな食材じゃなくて、定番のものだってことよ。やっぱ、食べ物は「怖がらずに安心して食べられる」のが一番だよ(笑)。

 そば天の雲を小皿におろし、主脚であり主役でもある穴子の天ぷらを一本箸でつまみ上げ、ペロリと舌なめずりを。やおら端から頬張ると、「サクッ」と軽い食感と香ばしい香りのあとに、「ホックリ」とした白身魚の柔らかい風味が舌を喜ばせる。なにより安心と安定の「ホッ」の瞬間だ。

 意外なのは円を書くように揚げられたそばの天ぷらで、こちらは「サクサク」より歯ごたえある「カリカリ」がいいアクセントになっている。ご飯に染みた天ぷらのタレの甘しょっぱさも江戸っ子にはちょうどいい。

 長~い穴子天3本と、土台になっているかき揚げまでたいらげると、さすがに満腹。すこし胸焼けがして、添え物のたくあんだけじゃ足りず、さっぱりとしたキュウリの浅漬けがほしくなった。
 
 アラブの昔、人々がバベルの塔を建設して天に近づこうとしたため怒った神は、共通語だった言語を変えてしまったといわれる。

 しかし今、上から見下ろされる商店街で食べる穴子タワーの味は、万国共通の「うま~い!」の笑顔に違いない。

 たいへん、うもうございました。

chinkyu0508_1.jpgタワーを解体するとこんな感じ。一気に普通感が。この他に、さらにリアルな「スカイツリーそば」もある。

押上 そば遊膳 いちりきや
穴子のパワータワー丼 1700円
意外性 ☆☆☆
味   ☆☆☆  
店   ☆☆☆

最終更新:2019/11/28 19:33
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