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日刊サイゾー トップ > 社会  > 足利事件から24年、ルパンはいま
凶悪犯罪の真相

足利事件から24年 ジャーナリストが迫る、北関東連続幼女誘拐殺人事件の「真実」

 記者やジャーナリストと呼ばれる人間は数多いが、普通、こんな事件を取り扱うことはまずない。しかも、「日本テレビ」という大マスコミに所属しているなら、なおさらだ。一介のジャーナリストが、最高裁判決に対して疑問を呈する。それはジャーナリスト生命を賭さなければ、絶対に不可能なことであり、もしもそれが「誤報」であれば、自らのジャーナリスト生命だけでなく、日本テレビの報道姿勢までをも問われかねない。では、清水はどうして、ここまで執念深くこの事件に取り組むことができたのだろうか? それには、清水が追いかけた2つの事件の記憶がある。

 「免田事件」は、48年に熊本県で起こった強盗殺人事件。容疑者として逮捕された免田栄氏には死刑判決が下されたものの、その自供が警察に強要されたものだったことが判明し、83年に無罪釈放となった。免田氏を取材した清水は、彼からその「自白」の凄惨な現場を聞く。

「あれは取り調べなんてもんじゃなかとですよ。壮絶な拷問です。あらゆる脅迫もされ、寒さと空腹と。そりゃあ耐えきれるもんじゃなかとよ……」

 そして、釈放後の免田氏が語った言葉は、衝撃的なものだった。

「再審が決まった時には、検察が何と言ったと思いますか。『いつまでも死刑囚を生かしておくから、こんなことになる』そう言ったとですよ……」

 清水を突き動かしたもう1つの事件が、99年の「桶川ストーカー殺人事件」だ。清水は同事件の取材をもとに『遺言 桶川ストーカー殺人事件の深層』(新潮社)という本も上梓している。この事件で、警察は被害者の女子大生から受け取った告訴状を改ざんし、その事実を隠蔽。さらに、被害者は「ブランド好き」「水商売のアルバイトをしていた」という情報をマスコミに流し、そのイメージをもとに、メディアは「風俗嬢が痴情のもつれで殺された事件」と書き連ねていく。

「恐ろしいことだと私は改めて思った。公権力と大きなメディアがくっつけば、こうも言
いたい放題のことが世の中に蔓延していくのかと」

 この事件の取材を通じて、清水は「警察は、都合の悪いことは隠す」という現実を目の当たりにしたのだった。

 足利事件では、菅家氏と真犯人とのDNAは一致せず、DNA型鑑定の絶対性は覆った。だが、検察の言い分は「今回、より正確で高度な鑑定で事実がわかったわけです。大きなミスがあったとは見受けられない」というもの。あくまでも、検察側はDNA型鑑定の「神話」を守り通した。それはなぜか? これまで、DNA型鑑定を物証として採用した事件は数多い。DNA型鑑定の神話が崩壊すれば、これまでに出した少なくない判決が覆ってしまう可能性があるのだ。北関東連続幼女誘拐殺人事件とともに、清水が本書で取材している「飯塚事件」も、DNA型鑑定を有力な証拠として採用した事件。しかし、飯塚事件の容疑者とされ、冤罪を主張し続けてきた久間三千年氏の死刑はすでに執行されてしまっている。

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