おまけシール全盛期を盛り上げた「ガムラツイスト」「ラーメンばあ」今昔物語!
#サブカルチャー #バック・トゥ・ザ・80'S
アナログとデジタルの過渡期であった1980年代。WiiもPS3もなかったけれど、ジャンクでチープなおもちゃがあふれていた。足りない技術を想像力で補い、夢中になって集めた「キン消し」「ミニ四駆」「ビックリマンシール」……。懐かしいおもちゃたちの現在の姿を探る!
日本全土がおまけシールブームに沸いていた1980年代後半。当時、おまけシール界の王者として君臨していた「ビックリマン 悪魔VS天使シール」(ロッテ)に迫る勢いで高い人気を誇っていたのが、「レスラー軍団抗争シール」シリーズである。「ラーメンばあ」(カネボウフーズ)、「ガムラツイスト」(ベルフーズ/カネボウフーズ、ベルフーズは現在、クラシエフーズに統合)という2種類のお菓子で展開していたこのシリーズは、プロレスを題材にした世界観。ちょっぴりゴージャスでお得な2枚重ね・3枚重ねシールや、キャラクターの強さが一目でわかるパワーゲージ。まるで漫画の1コマをシール化したようなストーリーシールなど、過剰なエンタメ志向が特徴で、凡百のおまけシールに満足できないユーザーの心をがっちりホールド! 後に、テレビアニメも2作品制作されるほどの人気を獲得した。
今回は、そんなおまけシール全盛期を盛り上げた「レスラー軍団抗争シール」のお話だ。
■レスラー軍団誕生秘話
「レスラー軍団抗争シール」の歴史は、80年代後半に発売された棒状のラーメン菓子「ラーメンばあ」の登場から始まる。
同商品は、ラーメン軍と麺魔軍という2つのプロレス団体の抗争を描く「覆面レスラーシール」をおまけとして封入。すでに「ビックリマン 悪魔VS天使シール」に端を発するおまけシールブーム真っ盛りの当時、その後を追うおまけシールが多数、世の中に流通していたが、「覆面レスラーシール」は、
・キャラクターの強さを数値化したパワーゲージを掲載
・シールを使って、軍人将棋的なルールのボードゲームが遊べた
・2枚重ねのWシール仕様となっており、シールをめくることでキャラクターのパワーアップする様子が描かれた
などなど、男子心をくすぐるギミックを複数搭載することで、その他フォロワーたちと一線を画していた。
その後、ほどなくして同じく「覆面レスラーシール」をおまけに付けた、いちご風味のガム菓子「ガムラツイスト」が登場。しばらくは、2つの商品に同じシールが封入されるという状況が続いた。
この「覆面レスラーシール」──後の「レスラー軍団抗争シール」のストーリー、デザインなどを一手に請け負っていたのが、現在も活躍するデザイン会社、スタジオ・メルファンだ。同社は、もともと漫画家として活躍していた桜井勇氏が起ち上げ、80年代以降の日本のキャラクターグッズ業界に多大な影響を与えた企業である。
「もともと自分はタカラ(現・タカラトミー)の『こえだちゃん』のデザインをしていまして、そこからイラストの仕事が増えていきました。そのうちに、いつの間にかイラストレーター集団となって、会社化したという経緯があります」(スタジオ・メルファン 桜井勇社長)
「こえだちゃん」といえば、今も人気の女児向けマスコット玩具だ。そんな人気キャラクターを手掛けていたスタジオ・メルファンに、おまけシール制作の声がかかったのは80年代半ばのことだ。
印刷会社・A社(仮名)のスタッフが、ビックリマン人気を受けて新たなおまけシールを企画。そのデザインをスタジオ・メルファンに発注したところから、運命は動き出した。
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