狙いは医療費抑制か――日本人間ドック協会の「新基準」で健康な人が増える!?
#出版 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
そして文春は、小保方さんの会見でのこの発言を、責任転嫁だと難じるのだ。
「『STAP幹細胞』につきましては、ちょっと私は苦手としていて、若山先生は非常にお得意とされていて、現存するSTAP幹細胞はすべて若山先生が樹立してくださったものです」
これは某国立大学教授によれば、全部若山先生がやったことで、私は細胞が200回緑色に光ったのを確認しただけ。後は若山先生たちにやっていただき、論文の筆頭著者の地位は私がいただきましたと言っているのと同じだというのである。
先にも書いたように、笹井氏も会見で、私は最終段階のチェックだけで、それまでは若山先生がやっていたと、暗黙の内に責任は若山先生にあるとしていた。これは小保方さんと笹井氏が“意図して”やっていることなのだろうか。
その若山氏は疑惑が浮上した後、「小保方と笹井氏が二人三脚で研究や論文を仕上げていく過程で、完全に除け者にされていた」と語っているのだ。
若山教授だが、文春によると心労からかげっそりやせていて、「何も話すことはない」と言って足をふらつかせながら去って行ったという。
コトの真相などわかりはしないが、今回の騒動を私なりに総括してみようと思う。小保方さんも自ら認めているように研究者としては極めて未熟で、最低限の知識もなかったことは間違いない。
笹井氏が彼女の発想力を高く買っているが、そうならば、研究者としてではなく、企画プレゼンターのようにして使えばよかったのである。
小保方さんの“色香”や付けまつ毛、ヴィヴィアン・ウエストウッドの指輪に見とれて、STAP細胞のなんたるかを検証もせず、世界的な発見だ、ノーベル賞ものだとバカ騒ぎしたメディアの罪も重い。
理研の対応の遅れや不十分な調査、共著者なのに論文の稚拙な間違いさえチェックできなかった、あまりにも無責任な笹井氏の態度も責められて然るべきである。
だが、これらのことと、STAP細胞の可能性については分けて考えるべきだ。
私は笹井氏の話を聞いていて得心がいった。STAP細胞は大きな可能性をもった「仮説」だったのだ。にもかかわらず、斯界の第一人者たちが共同執筆者に名前を連ねて「ネイチャー」誌へ論文を寄稿し、その人たちがそろって記者会見したことで、iPS細胞を超える万能細胞がすぐにでも実用化するとメディア側が勝手に“勘違い”し、国民もそう思ってしまったのだ。
研究者としては「ノーベル賞」ものの研究だと騒いでくれたほうが予算が付きやすいから、あえて騒ぐに任せたのではないか。
実際のところ、STAP細胞研究は笹井氏の言うように、まだ緒に就いたばかりの「仮説」なのだから、これからうんざりするほど長い時間をかけて検証していかなくてはいけない。コペルニクスが地動説を言い始め、ガリレオが地動説に有利な証拠を多く見つけたが、それをニュートンが完成させるまでに100年以上かかっているのだ。
日本の再生科学の分野では第一人者の笹井氏が本当に「STAPは有望で合理的な仮説と考える」のならば、笹井氏を中心とした研究チームを作り、あと何十年かかろうとこの研究を続けさせるべきだと思う。
万が一にもSTAP細胞を作ることに成功し、実用化できれば、今回のことで地に堕ちた日本の科学技術の信用を取り戻すことができるはずである。
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