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週刊誌スクープ大賞

「オナニーの手伝いも……」中学生の息子と入浴する母親たち

 日本の犯罪史上まれに見る惨劇「秋葉原連続通り魔事件」が起きたのは08年6月8日、日曜日だった。加藤智大は白昼の秋葉原の雑踏に2トントラックで突っ込み、さらにダガーナイフを使って7名もの命を奪ったのだ。

 その加藤被告の弟に接触し、彼と心を通じ合った現代記者の齋藤剛氏が、弟の苦悩とその死について書いている現代の記事が泣かせる。これが今週の堂々第1位である。

 加藤被告の実の弟・加藤優次(享年28・仮名)は著者にこう話したという。

「あれから6年近くの月日が経ち、自分はやっぱり犯人の弟なんだと思い知りました。加害者の家族というのは、幸せになっちゃいけないんです。それが現実。僕は生きることを諦めようと決めました。死ぬ理由に勝る、生きる理由がないんです。どう考えても浮かばない。何かありますか。あるなら教えてください」

 この1週間後、優次は自ら命を断った。

 加藤被告の起こした犯罪のために、被害者の遺族の人たちは塗炭の苦しみを味わっている。だが、加害者の家族も苦しみ、離散し、弟は兄の犯した罪に懊悩し、ついには自裁してしまったのだ。

 弟は兄の事件によって職を失い、家も転々とするが、マスコミは彼のことを放って置いてはくれなかった。就いた職場にもマスコミが来るため、次々と職も変わらなければならなかった。

 そんな暮らしの中にも、希望がなかったわけではなかったという。事件から1年余りが過ぎた頃、筆者が彼のアパートを訪ねようとしたとき、たまたま、女性と一緒に歩く姿を目撃したそうだ。

 優次は彼女に、事件のことも話していたという。

「正体を打ち明けるのは勇気のいる作業でしたが、普段飲まない酒の力を借りて、自分のあれこれを話して聞かせました。一度喋り出したら、後は堰を切ったように言葉が流れてました。 彼女の反応は『あなたはあなただから関係ない』というものでした」

 ようやく心を開いて話ができる異性との出会いは、彼に夢を与えてくれたのだろう。

 しかし、優次の夢はかなうことはなかった。事情を知りつつ交際には反対しなかった女性の親が、結婚と聞いた途端に猛反対したというのだ。

 2人の関係が危うくなり、彼女も悩んでイライラしていたのだろうか、彼女から決定的なひと言が口をついて出たという。

「一番こたえたのは『一家揃って異常なんだよ、あなたの家族は』と宣告されたことです。これは正直、きつかった。彼女のおかげで、一瞬でも事件の辛さを忘れることができました。閉ざされた自分の未来が明るく照らされたように思えました。しかしそれは一瞬であり、自分の孤独、孤立感を薄めるには至らなかった。結果論ですが、いまとなっては逆効果でした。持ち上げられてから落とされた感じです。もう他人と深く関わるのはやめようと、僕は半ば無意識のうちに決意してしまったのです。(中略)僕は、社会との接触も極力避ける方針を打ち立てました」

 優次は、手記に繰り返しこう書いていたという。

「兄は自分をコピーだと言う。その原本は母親である。その法則に従うと、弟もまたコピーとなる」

 そして「突きつめれば、人を殺すか自殺するか、どっちかしかないと思うことがある」。そんな言葉を筆者に漏らすようになっていった。

 母親は事件後、精神的におかしくなり、離婚してしまった。父親も職場にいられなくなり、実家へ帰り、ひっそりと暮らしている。

 優次は、加害家族も苦しんでいることを知ってほしいと、このように書いている。

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