AKB48のチャート上位独占がなくなる!? ビルボードが“総合人気チャート”に挑戦
#オリコン
AKB48グループのCDがオリコンチャートをにぎわすようになって久しい。ミリオンを突破するたびに「握手券商法だ」と揶揄する声も多く聞かれるが、日本経済新聞も4月10日、「AKB人気は本当か 新世代の音楽チャート作れ」と題した記事を掲載。アイドルが上位を占める現状のオリコンチャートに対し「楽曲の人気を表すバロメーターに位置付けることに違和感を感じる消費者は多いだろう」と批判めいた指摘をし、話題となっている。
たしかに、2013年のオリコン年間チャートは、1~4位をAKB48が独占。5位はEXILEの初ミリオン突破作となる「EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~」だが、これも「ライブチケットにCDを1枚つける」などの“EXILE商法”を行った結果だ。指摘の通り、人気の度合いではなく、熱心なファンに支えられているという実態を映し出していると言ったほうが正確かもしれない。
そんな中、米ビルボードは新しい音楽の総合人気チャート作りに挑戦している。CDの売上枚数だけでなく、ネット配信やレンタルの動向、ラジオでの再生回数、さらには「Twitterでどのくらいつぶやかれたか」を計算に含んだチャートだ。同記事によると、ビルボードは「日本の音楽ファンが好んで聞いている楽曲が何かを正確に反映した総合チャートを作りたかった」のだという。
3月10~16日の集計結果を見ると、オリコンでは10位以下だったBUMP OF CHICKENの「ray」や、赤い公園「絶対的な関係」などがトップ10内に浮上。BUMPの根強い人気と、若手バンド・赤い公園の勢いが反映された形になる。興味深い結果だが、「好んで聞いている楽曲が何かを正確に反映」できているのか? 音楽業界関係者はこう話す。
「いくつか問題があります。まず、レンタルを行っていないアーティストがいること。例えば、マキシマム ザ ホルモンは昨年、6年ぶりのフルアルバム『予襲復讐』をレンタル禁止でリリースしました。こうしたケースの場合、レンタル枚数もカウントされるこのチャートでは、一気に順位が落ちてしまう……ということもありえます」
もうひとつは、ファンの性質によって、順位が大きく変動する可能性があることだ。
「3月10~16日のチャートにおいて、ケツメイシの『カリフォルニー』は、ラジオ・CD販売・ネット配信では1ケタ台に食い込んでいますが、レンタルとTwitterの順位は29位と低い。ケツメイシのファンは、いわゆる“マイルドヤンキー”が多いので、メディア利用が活発ではないのでしょう。見方を変えれば、確実にCDを買ってくれる良質なファンを獲得しているとも言えます。このようなことを考えると、総合人気チャートは“すべて”ではないし、正確とも言い切れない。ただ、画期的な取り組みだとは思いますし、今後の成長には期待しています」
売上枚数だけで順位を決めるオリコンチャートは、客観的な指標として意義がある。一方、ビルボードの総合チャートは「CDを買うお金はないが、毎日Twitterで応援している」など、数字には表れにくいファンの姿も反映していく。どちらかに頼るのではなく、両者を見比べて人気の度合いを分析していくと、最も正確に把握できそうだ。
(文=井上琴美)
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