飲んべえオッサンたちが大奮闘『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』
#映画
今週取り上げる最新映画2作品は、主人公らが世界の危機に立ち向かうというのが共通のテーマ。とはいえ、片や飲んべえのオッサンたちが奮闘する姿を英国らしいシニカルなユーモアを交えて描くコメディ、片やアメリカの名を冠した王道のアメコミヒーローが巨大な陰謀と戦うアクション大作と、それぞれのテイストは大いに異なっている。
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』(4月12日公開)は、『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04)、『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(07)のエドガー・ライト監督と主演サイモン・ペッグ&ニック・フロストの3人組が、母国イギリスを舞台に3度目のコラボで描くSFコメディ。約20年前、一晩でパブ12軒をハシゴするチャレンジの途中で挫折したゲイリー(ペッグ)は、再挑戦するため当時の仲間アンディ(フロスト)ら4人を招集し、故郷の町に舞い戻る。5人はハシゴの途中で、様子がおかしい住民らに襲撃され、異様な光景を目の当たりにするが、困惑しながらも12軒目の「ワールズ・エンド」を目指して飲み続ける。
住民たちがエイリアンに乗っ取られていた――そんな侵略SFの定番の設定をなぞりつつ、人類の命運を握るのがくたびれた酒飲み中年たちという点が、ユニークかつ最高にバカバカしい。前2作と同様、随所に盛り込まれたジャンル映画のオマージュやパロディを見つけるのも楽しいし、エイリアンに操られた住民たちからの必死の逃走、めまぐるしい大乱闘も笑いを誘う。コミカルな要素がはじけるストーリーの中で、グローバル資本主義とインターネット普及によるコミュニティの画一化や個人の疎外感への風刺という、ビターな隠し味が効いている。
『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』(4月19日公開、2D/3D上映)は、マーベルコミック原作のヒーローアクション『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』(11)の続編で、引き続きクリス・エバンスが主役を演じる。国際平和維持組織「シールド」に属するヒーロー軍団「アベンジャーズ」のメンバーとして、ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)やニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)らとともに任務に当たっていたキャプテン・アメリカ。だが3人は、シールド内部で全人類を監視する計画が動き出すと同時に、組織の内外から命を狙われ、誰が真の敵なのか分からないまま逃亡者となる。やがてキャプテン・アメリカは、最強の暗殺者ウィンター・ソルジャーに追いつめられるが、マスクが外れてあらわになった敵の素顔に衝撃を受ける。
物語は、マーベルヒーローが集結した超大作『アベンジャーズ』から2年後という設定なので、同作とシリーズ第1作は事前に見ておきたい。『アイアンマン』シリーズや『マイティ・ソー』シリーズがコミカルな要素を強める中、今作はシリアス路線に舵を切り、比較的大人向けのアクション映画となった。日本人にとってやや馴染みの薄いキャプテン・アメリカの内面を丁寧に描く場面も適切に配され、アクションシーンと緩急がつき相乗効果を生んでいる。格闘術や銃火器を巧みに操るクールなスカジョに加え、シールド副長官役のコビー・スマルダーズ、エージェント役のエミリー・バンキャンプらタイプの異なる美女3人の競演も嬉しいポイントだ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』作品情報
<http://eiga.com/movie/78979/>
『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』作品情報
<http://eiga.com/movie/77787/>
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