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スタローンとデ・ニーロが夢の共演! 異色のスポ根コメディ『リベンジ・マッチ』

JP-Pub-photomain-GRMT.jpg(C)2014 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.

 今週取り上げる新作映画は、スタローンとデ・ニーロが初老ボクサー役で夢の競演を果たした異色のスポ根コメディと、美少女2人の大胆な性愛描写が話題を呼び、昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞を獲得した愛のドラマ。一度きりの人生、型破りでもやりたいことや好きなものを追求して生きることの大切さを教えてくれる2作品だ(いずれも公開中)。


 『リベンジ・マッチ』は、映画史に残る傑作ボクシング映画『ロッキー』と『レイジング・ブル』、それぞれに主演したシルベスター・スタローンとロバート・デ・ニーロがリング上で因縁の対決を演じる娯楽作。80年代のボクシング界でライバル同士だったレイザー(スタローン)とキッド(デ・ニーロ)は、1勝1敗後の第3戦直前にレイザーが突然引退し、以来2人は犬猿の仲に。30年がたち、造船所で働くレイザーと、商売を営むキッドのもとに、プロモーターから遺恨を晴らす試合のオファーが舞い込む。レイザーは旧友の老トレーナーに、キッドは疎遠だった息子に鍛え直され、ついに対戦当日を迎える。

 監督のピーター・シーガルは、『裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱』(94)、『ゲット スマート』(08)などコメディを得意とし、本作でも数々の映画の引用、パロディでファンを楽しませる。序盤のゲーム制作場面で、モーションキャプチャー収録のはずがリアルな乱闘になってしまう展開は、「本当に面白いアクションは、CGなんかじゃなく生のファイトなんだ」と訴えているかのよう。老トレーナーとの絆、離れていた家族との葛藤と和解のサブストーリーも巧みにからませ、終盤の胸アツな決戦をドラマチックに盛り上げる。本編が終わったあとも、慌てて席を立たないように。エンドロールで超有名な2人のカメオ出演があり、ヘビー級の映画ネタギャグが炸裂する。

 『アデル、ブルーは熱い色』(R18+)は、フランスの新進女優アデル・エグザルコプロスと、「マリー・アントワネットに別れをつげて」(12)のレア・セドゥーが、運命的な恋に落ちた2人を演じる愛と人生の物語。文学を愛する高校生アデルは、上級生の男子とのデートに向かう途中、青く髪を染めた美大生エマと目が合い、心を射抜かれる。ほどなくバーで再会した2人は、激しく愛し合うようになる。数年後、教師になったアデルは、画家のエマと同棲生活を送っているが、2人の気持ちは次第にすれ違ってゆく。

 フランスの人気コミックを原作に、アラブ系フランス人のアブデラティフ・ケシシュ監督が映画化。2013年・第66回カンヌ国際映画祭では審査委員長のスティーブン・スピルバーグに絶賛され、監督と主演女優2人の3人にパルムドールが贈られるというカンヌ史上初の快挙を達成した。美しく切なく、痛みを伴う愛の行方を、あえて“メロドラマ”にせず、2人を静かに観察するかのような演出で描く。作品世界の中で鳴っている音楽(店内やイベントや路上パフォーマンスなど)を除くとBGMが一切使用されず、登場人物の緊張や興奮が、息づかいやあえぎ声を通じて生々しく伝わってくる。愛の交歓シーンでは、愛し合っている2人に感情移入して高揚する気分と、のぞき見のような背徳感とが混じり合い、複雑な感覚を味わうはず。官能的な映像の魅力もさることながら、愛の意味に哲学を重ね合わせることで、世界観に奥行きが出ている。多民族社会、格差、性的マイノリティーへの偏見と自由化運動など、フランスの今が垣間見られる作品でもある。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『リベンジ・マッチ』作品情報
<http://eiga.com/movie/78100/>

『アデル、ブルーは熱い色』作品情報
<http://eiga.com/movie/79242/>

最終更新:2014/04/04 21:00
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