キング・オブ・スタジオドキュメント『笑っていいとも!』の終わり方
#テレビ #バラエティ #テレビ裏ガイド #笑っていいとも! #てれびのスキマ
さらにナインティナインも加わり、同じ画面、同じ舞台にタモリ、明石家さんま、笑福亭鶴瓶、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題、ナインティナインというお笑いのレジェンドたちがそろうという、ありえない“奇跡”が起こったのだ。同じ画面にいるだけではない。太田のボケに浜田雅功がツッコミ、そのボケに松本がかぶせる。そんな夢のようなやりとりが実現した。
「何かが起こりそう」な「今」を映すのが「テレビ」だ。そして、それは『いいとも』そのものともいえる。『いいとも』だから、そして何よりもタモリがそこにいるからこそ、「何か」は実際に起こったのだ。『いいとも』のような長い歴史のある番組であれば、名場面は数多くある。グランドフィナーレに、そういったVTRで過去を振り返ることもできたはずだ。けれど、『いいとも』は「今」にこだわった。途中グダグダになってしまう場面があったとしても、すべてを「生放送」の醍醐味で乗り切った。まさに「スタジオドキュメント」。それが過去にも未来にも執着しないタモリイズムであり、『いいとも』イズムだったのだ。
なんの情報も意味もない、くだらない放送を32年間続けてきたタモリは、ずっと続けてきたいつも通りの締め方で、照れ笑いを浮かべながら最後を締めくくった。
「明日もまた見てくれるかな?」
その瞬間、いつものフレーズが指す対象が劇的に広がった。
『いいとも』がない「明日」も、テレビのバラエティ番組は続いていく。くだらなくて、意味のないお笑い番組は、これからも生まれていくはずだ。番組の打ち上げに参加した笠井信輔アナウンサーによると、タモリによる乾杯の掛け声は「日本のバラエティに乾杯!」だったという。
「答え要りませんが……ちょっと我慢できずに言います。答えは要りません」
抑え気味のトーンで感謝のスピーチを綴っていた香取慎吾は、手を震わせながら言った。
「そもそも、なんで終わるんですか……?」
答えなんて要らない。そんな答えに意味なんてないのだから。でも、伝えずにはいられなかったのだ。
「これからもツラかったり苦しかったりしても、笑っててもいいかな?」
と香取が投げかけると、タモリは即座に優しく返した。
「いいとも!」
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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