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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『笑っていいとも!』の終わり方
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第52回

キング・オブ・スタジオドキュメント『笑っていいとも!』の終わり方

 さらにナインティナインも加わり、同じ画面、同じ舞台にタモリ、明石家さんま、笑福亭鶴瓶、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題、ナインティナインというお笑いのレジェンドたちがそろうという、ありえない“奇跡”が起こったのだ。同じ画面にいるだけではない。太田のボケに浜田雅功がツッコミ、そのボケに松本がかぶせる。そんな夢のようなやりとりが実現した。

「何かが起こりそう」な「今」を映すのが「テレビ」だ。そして、それは『いいとも』そのものともいえる。『いいとも』だから、そして何よりもタモリがそこにいるからこそ、「何か」は実際に起こったのだ。『いいとも』のような長い歴史のある番組であれば、名場面は数多くある。グランドフィナーレに、そういったVTRで過去を振り返ることもできたはずだ。けれど、『いいとも』は「今」にこだわった。途中グダグダになってしまう場面があったとしても、すべてを「生放送」の醍醐味で乗り切った。まさに「スタジオドキュメント」。それが過去にも未来にも執着しないタモリイズムであり、『いいとも』イズムだったのだ。

 なんの情報も意味もない、くだらない放送を32年間続けてきたタモリは、ずっと続けてきたいつも通りの締め方で、照れ笑いを浮かべながら最後を締めくくった。

「明日もまた見てくれるかな?」

 その瞬間、いつものフレーズが指す対象が劇的に広がった。

 『いいとも』がない「明日」も、テレビのバラエティ番組は続いていく。くだらなくて、意味のないお笑い番組は、これからも生まれていくはずだ。番組の打ち上げに参加した笠井信輔アナウンサーによると、タモリによる乾杯の掛け声は「日本のバラエティに乾杯!」だったという。

「答え要りませんが……ちょっと我慢できずに言います。答えは要りません」

 抑え気味のトーンで感謝のスピーチを綴っていた香取慎吾は、手を震わせながら言った。

「そもそも、なんで終わるんですか……?」

 答えなんて要らない。そんな答えに意味なんてないのだから。でも、伝えずにはいられなかったのだ。

「これからもツラかったり苦しかったりしても、笑っててもいいかな?」

と香取が投げかけると、タモリは即座に優しく返した。

「いいとも!」
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 17:59
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