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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 帰還兵と家族の“その後”

生き残った帰還兵と家族の“その後”を追った『帰還兵はなぜ自殺するのか』

 また、戦争は時に異常なまでに兵士たちを興奮させる。同じく重度のPTSDとされたアダム・シューマン(28歳)は、初期の侵攻の時には「これまででいちばんすごい映画を最前列で観ているみたいだった」「とても気に入ったね。銃撃戦でいつ撃たれるかわからない状態ってのは、最高の性的興奮を覚えるんだ」と語っている。しかし、同じ隊にいたマイケル・エモリーが頭に銃弾を受け、血まみれになりながら助け出し、かろうじて生き残ったものの半身不随となり、一番のお気に入りだった部下を失い、別の兵士から「あんたがいたら、こんなひでえことにはならなかったのにな」と言われ、爆弾が爆発したように体がバラバラになった。その言葉は、いつも隠れた爆弾をめざとく見つける、勘のいいアダムをたたえた言葉だったが「お前のせいだ」「お前のせいだ」と責められているように感じ、“すっかり壊れた”。

 人の心を壊してしまう戦争。一度壊れてしまった心は、なかなか戻らない。しかも、何十年たっても。戦後70年もの間、戦争をしていない平和な国・日本が、ここ最近、再び“戦争ができる国”への道を歩み出そうとしている。

 戦争は一体誰のために? 
 
 これまでに戦争を行い、一体誰が得をしたのか。そもそも戦争が大成功したことなどあるのか。「戦争の後」をあらためて考えたい。
(文=上浦未来)

最終更新:2015/03/06 11:50
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