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日本人の洋画嫌いを食い止める!?アイドル女優がヤリマンを演じきるアメリカンコメディの醍醐味!

 一般財団法人・日本映画製作者連盟のデータによると、データがある1955年以降、邦画と洋画のシェアは、邦画が高い時代が続き、75年に洋画がはじめて上回ると、その後は抜きつ抜かれつの勝負を繰り広げていた。が、2007年以降、邦画がシェアで上回る状況が続いている。これにはテレビ局主導の映画がつくられ、テレビ番組で朝から晩まで出演者による映画宣伝が繰り広げられることも一役買っているのだろう。また日本人の洋画離れを指摘する声もある。

 洋画の中でも、ステレオタイプな「大味」というイメージや、「コメディ映画は受けが悪い」という定説があるためか、なかなか劇場でお目にかかれないのがアメリカンコメディ映画。しかし、月刊「サイゾー」(14年3月号)の特集「映画のミカタ」内の「アイドル女優がヤリマンになりきる!抱腹”卒倒”なアメリカンコメディ」によれば、1975年からアメリカの土曜深夜に放送されている『サタデー・ナイト・ライブ』にアダム・サンドラーが登場以降「笑いの質が急激に上がった」という。その理由として「それまでは芸人が鉄板のネタや得意キャラをつなぎ合わせてつくるコメディ映画が多かった」中にあって、彼以降の作品は「ストーリー重視になり、脚本や演技のレベルが高くなった」からだという。

 しかし、2000年代に入るとさらなる変化が起きたという。それまで「白人男性が主導」で「女性が主役のコメディが当たらない」と言われていたのが一変したという。アメリカンコメディの登竜門番組『サタデー・ナイト・ライブ』の構成作家責任者が2000年代にティナ・フェイという女性になったことにより、番組の雰囲気も一変。女芸人が仕事をしやすい環境になったという。また、彼女が脚本を書いた『ミーン・ガールズ』のスマッシュヒットにより、女性主演のコメディを撮る女性映画作家が出たきたとも。11年には、ほんとんど女子だけで作られた映画『ブライズメイズ 史上最悪のウェディング』が大ヒット。その他にも『小悪魔はなぜモテる?!』や『バチェロレッテーーあの子が結婚するなんて!ーー』などなど。

 また主演が女性か男性かを問わず、日本では劇場公開されずいわゆる”DVDスルー”で、DVDとしてリリースされることが多いコメディ映画。「コメディ洋画日本公開を求める署名活動に出来レースがある!?」という記事では、『ハングオーバー』や『ホット・ファズ~俺たちスーパーポリスメン!』などのコメディ映画は、国内での配給会社が決まっていなかったため、ネット上で公開を求める署名活動が展開され国内での公開となった。

 しかし「こうした一見映画愛にあふれた公開要望署名活動が実はそもそも宣伝なのではないかとされるケースがある」という驚きの一言が。「もともと日本の大手広告代理店が製作出資をしていたりして、どう考えても日本公開はされるし配給会社ももう決まっている作品に関して、わざわざ署名活動を行っているケースがある」という。そうすることで映画の宣伝になるというのだ。そうした場合にはお金も動いているはずだとも言う。

 もうひとつ日本人が観なくなったとの声もある洋画で再度押し寄せている波が「ブラックムービー」と呼ばれる黒人映画だという。確かに最近話題となった『ジャンゴ 繋がれざる者』や『大統領の執事の涙』などは黒人主演の映画だ。月刊「サイゾー」(cyzo/14年3月号)の特集「映画のミカタ」内の「知られざるブラックムービーの世界」によれば、先の2本の他にも、これから公開予定の『それでも夜は明ける』『フルートベル駅で』などここ1年半で大きな話題を集めているが、その下地は1970年代に遡るという。アメリカでは64年に公民権法が制定されたが、「現実には人種差別感情に基づく黒人への暴力事件が後を絶」たなかったという。この厳しい現実の中で「スクリーンの中で悪しき白人をこてんぱんに叩きのめす」黒人俳優に多くの黒人観客が自己を投影していたという。その映画こそ、黒人探偵が白人の組織に挑むアクション映画『黒いジャガー』。その後、主役に黒人を配し、黒人層から支持されれば大儲けできるということで”黒人を利用”、つまり「エクスプロイテーション」から「ブラック+エクスプロイテーション=ブラックスプロイテーション」という造語で呼ばれていたという黒人主演の映画。その後、多くつくられるが結局ネタ切れやステレオタイプ化で飽きられてしまったという。

 再びブラックムービーが注目を集めるのが80年代。この頃には”黒人スター俳優”というポジションが確立し、80年代後半には黒人映画作家・スパイク・リーが頭角を現す。リーは、ブラックスプロイテーションで描かれていた黒人像を否定し、作風も登場人物のキャラ設定も黒人らしくないことで、『マルコムX』のような大作へつなげていったという。その後、ブラックスプロイテーション映画の主役とは真逆のどこにでもいるような黒人の姿が描かれるようになったとのこと。

「サイゾー3月号」の第1特集は「『映画』のミカタ」。「邦画界の名バイプレーヤーに聞く”ヤバい映画”」(小日向文世編北村一輝編などなど)、「仲代達矢から堺雅人まで、劇団俳優の”成り上がり”映画伝説」から「幼児虐待、獣姦、カニバリズム!過激化するエログロ映画」「拉致監禁拷問まで!『規制もなんのその』な◯恐バイオレンス映画」まで幅広い映画ファン必読の一冊だ。

(本多カツヒロ)

最終更新:2014/03/19 16:10
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