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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 第2、第3の宮崎駿は生まれる?
世界戦略で日本のアニメは生き残る!?

「環境を整えれば、第2、第3の宮崎駿氏は生まれる」老舗アニメスタジオ創業者が語る、アニメ業界の今とこれから

nunokawa0005.jpg布川郁司氏

「パンプルピンプルパムポップン、ピンプルパンプルパムポップン!」

 魔法の呪文で、どこにでもいる普通の小学生の女の子がトップアイドルに変身するという魔法少女アニメ『魔法の天使クリィミーマミ』をはじめ、『ニルスのふしぎな旅』『うる星やつら』『スプーンおばさん』『幽☆遊☆白書』『みどりのマキバオー』『BLEACH』『NARUTO』『キングダム』など、1979年の設立から現在に至るまで、コンスタントに人気アニメを制作し続けるアニメーションスタジオ・株式会社ぴえろ。

 その設立者にして、現在、取締役顧問を務める布川郁司氏が、株式会社ぴえろ(設立当初は、株式会社スタジオぴえろ)立ち上げから現在に至るまでの歴史や、アニメ制作のリアルで生々しい裏事情を(ほんのちょっぴり)開陳した書籍が、『「クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか?」-愛されるコンテンツを生むスタジオの秘密-』(日経BP社)だ。

 本書は、上記のようなアニメ制作秘話的なエピソード、スタジオ運営の苦労といった、アニメファンなら気になるエピソードのみならず、現在、日本動画協会理事長の布川氏ならではの、アニメ業界に対する提言や問題提起も盛り込まれた「経営者・ビジネス的視点で語るアニメ業界本」という、なかなか興味深い内容となっている。そこで今回は、本書の内容に触れつつ、アニメ業界の問題点と今後について率直に語ってもらった!

■きっかけは、後進育成の精神から

──スタジオ経営者視点のアニメ業界本ということで、いろいろと興味深く読ませていただきました。まずは、本書執筆のきっかけを教えてください。

布川郁司氏(以下、布川) やっぱりアニメって、作るよりも見るほうがいいよね、とはよく言うんですが(笑)、その一方で何か作りたい、表現したいという若い人は常にいます。ただ、どう行動したらどうなるのか、というハウツーを示す人は今まであまりいませんでした。また、個人制作アニメは別として、映像作品を作る上でどうしてもお金の問題が付きまといますし、スタッフも必要となります。そこで、スタジオを作った経験がある自分から後の世代に向けて、現場からマネジメントに至るまでの体験を残しておいてもいいかなと思っていたところに、ちょうど日経BP社さんから本書のお話をいただきました。

──個人的には、ぴえろ立ち上げ時にタツノコプロのスタッフが移籍するような形でやってきた、というエピソードについて、ご本人が詳細に語っているという部分が非常に興味深かったです。そのおかげで、当時はタツノコプロからだいぶ恨まれてしまったそうですが……。

布川 今はもうタツノコさんとは和解していますよ(苦笑)。ただ、やっぱりゼロから始めるスタジオにとって、キャリア、名声を積んだ方をどうコントロールするかというのは非常に大きなことなんです。アニメーションというのは数百人のスタッフで作るものですが、実際のところ、クオリティの素になるのはライターや監督、キャラクターデザイン、作画監督など、10人くらいのメインスタッフのキャスティング次第という側面があります。あとはスケジュールと資金と、どれだけ作業者を募ることができるか。そこを押さえれば、みなさんもすぐにアニメプロダクションを作れますよ。ただ、そのラインを敷く時には、当然生臭い話もあるわけです。お金がないなら、志で誘うしかないわけです(笑)。そこを読み取っていただければ。

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