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ハマケン×ラブドールが織り成す愛と官能の世界?

【浜野謙太】枯れた現代に”望み”を見いだす、夢の街「ラブトピア」へようこそ

――超絶ナンセンス・コメディ『ラブトピア』がついにDVD化。主演ののぞみとハマケンがやってきた!

1404_hamaken_01.jpg(写真/cherry chill will)

 主演ののぞみをはじめ、友人のゆりやリナ、あつ子といったラブドールたちが主(人間)の不在時に楽しく暮らす夢の街「ラブトピア」。

 この薄ら寒い現代との対比として描かれているようなラブトピアの世界観は、永遠に続く幸福のように描写されつつ、泡のように消えた幻想=バブル期を彷彿とさせる。ドールたちをメインとする“ナンセンス・コメディ・ドラマ”と銘打たれたトンデモな世界に“のぞみのカレ”として唯一出演している“人間”、ハマケンこと浜野謙太に話を聞くことができたので、彼の言葉を借りて、仮想世界“ラブトピア”を紐解いてみたい。

「(ラブトピアは)いろんな意味で元気な世界なんですよ。具体的な時代設定はないんですが、枯れてしまっている現代感はなくて、平気で(のぞみとの)セックスの回数もこなす。のぞみから人間界に電話がかかってきて、『今、仕事中だよ』って対応するシーンがあるんですけど、人間界は“現実”という雰囲気があってバブル感はない。でも、カレが需要の少なそうな仕事に就いている感は、ラブトピアの景気の良さとの対比が出ていて面白いな、って」

 現代の人間が描く理想郷=ラブトピアで生活をするのは、あくまでもドールが中心だ。劇中、ドールとの唯一の接触者である浜野は、その異様な世界観やドールとの触れ合いをどう感じているのか?

「人との会話って、話の内容が進むにつれて気持ちも動いていくものじゃないですか。でも、ドールの声優さんは後からアテレコするので、撮影現場ではADが台本を見ながらドールの台詞を言うわけで──それもまたシュールなんですけど──ほとんどひとりで演じているようなものなんです。なので、僕が演じるのぞみのカレには、自己完結したストーリーがあって、ドールが声を発さなくても心で聞こえている、ひとりで話していても世界が成立するように演じることができれば、と思っていたんです。そう思いながら演じていたら、普段の人間関係においてもちゃんと他人の話を聞いているのかな? って感じ始めたんですよね。日常において付き合いの古い女友達や彼女、奥さんといった女性と接するときって、たいてい話を聞いていなかったり、さらっと流していたり、心もそんなに動かされることってないじゃないですか。それこそ予定調和の話ばかりしているような気がして。それってラブドールと同じなんじゃないか? って思っちゃったりして」

 奥が深い。しかし、ナンセンスと謳うだけあって、その奥深さに加え、この『ラブトピア』にはコミカルな要素と合わせてシニカルな部分も多く、随所にブラックジョークも散りばめられている。浜野自身がいうように、最終的にラブトピアと実世界の対比が明らかになったとき、(あまりの温度差はあれど)コミカルに描かれてはいるが、現代に対する警笛ともとることができるのだ。

「ラブドールが自殺するシーンがあるんですけど、『私は人形だから死ねない!』って言うんです。ほかにも『愛されなくなったらおしまい!』とか、完全に『トイ・ストーリー』の世界だったり。『ラブトピア』で繰り広げられる世界は、現代の縮図なのかもしれない、とすら思えてくるんですよ。まあ、ラブドールの世界の中に僕ひとりが人間、ってこと自体がすごくシュールなんですけど、全体のその世界観こそ『ラブトピア』が伝えたい主題であって、一番の見どころだと思いますね」

 突拍子もないアイデアとコミカルな構成。しかし、蓋を開けて味わってみると、風刺的な要素も垣間見られ、一筋縄ではいかない。“ナンセンス・コメディ”とは、実に言い得て妙である。

 と、説明すると堅苦しく感じられてしまうかもしれないが、ラブトピアにはユーモアと、現実離れしたある種の“理想”がある。

(文/橋本 修─)
(ヘアメイク/小林弘美)

浜野謙太(はまの・けんた)
1981年、神奈川県生まれ。インストゥルメンタル・バンドであるSAKEROCKのメンバー、また在日ファンクのリーダーとして音楽活動をする一方で、映画やドラマを中心に俳優としても活躍。そのキャラクターを買われ、『めちゃ×2イケてるッ!』などバラエティ番組にも多く出演している。

1404_hamaken_02.jpg

『ラブトピア完全版』
演出は住田崇、脚本がオークラ、美術にニイルセン、そして主演は浜野謙太と”ラブドール”(声優は後藤沙緒里、土師亜文、伊達朱里紗)という布陣で送るコメディ・ドラマ。サスペンスあり、社会風刺あり、シュールかつコミカルに進行する話題のドラマがついにDVD化。上下巻、2巻同時発売。発売記念イベントも開催決定(詳細は公式HPにて)
発売/ズノーエンターテインメント 販売/ポニーキャニオン 価格/各2800円(+税)

最終更新:2014/03/20 14:30
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