“オナニー”は恋人と神に対する冒涜行為なのか? 古来よりの命題に挑んだ笑撃作『ドン・ジョン』
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オナニー問題を論じる上で見逃せないのがジョンの宗教観。本作ではジョンはイタリア系米国人で、毎週欠かさず家族と一緒に教会に通う敬虔なカトリック信者という設定になっている。ちなみにバーバラはユダヤ系の子女という設定。みなさんもご存知のとおり、オナニーの語源は旧約聖書の創世記にまで遡る。ユダの息子オナンは亡くなった兄の嫁タマルと結婚するが、オナンはタマルを妊娠させることを嫌って膣外射精する。そのことからオナンは神の怒りを買って絶命することに。死んで名を残したオナン。古来よりオナニーは命懸けの行為だったことが分かる。ジョンもまた、神ならぬバーバラにエロサイトを観ていることがバレないか、ひやひやしながらエロ妄想に耽るのだった。
至高の美女バーバラ、超絶熟女エスターとタイプの異なる女性の狭間で、ジョンは愛の意味をおぼろげながら知ることになる。恋愛は自分の理想を相手に求めがちだ。相手が自分の理想に近ければ近いほど、自分の理想像を相手に押し付けてしまう。でも、それはとても独りよがりな行為だったことにジョンは気づく。数多くの女性たちとセックスしてきたジョンだが、これまでのセックスはどうやらオナニーの延長でしかなかったらしい。ワオッ、まるでセカンド童貞になったような気分♪ そんな初々しい表情を現代のドン・ファンは見せるのだった。
(文=長野辰次)
『ドン・ジョン』
監督・脚本/ジョセフ・ゴードン=レヴィット 出演/ジョセフ・ゴードン=レヴィット、スカーレット・ヨハンソン、ジュリアン・ムーア、ロブ・ブラウン、グレン・ヘドリー、ブリー・ラーソン、ジェレミー・ルーク、トニー・ダンザ 配給/KADOKAWA R15+ 3月15日(土)より角川シネマ有楽町、ほか全国ロードショー (c)2013 Don Jon Nevada,LLC.ALL Rights Reserved.
<http://donjon-movie.jp>
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