銀河最凶のダークヒーローが宇宙を舞台に大暴れ!『リディック ギャラクシー・バトル』
#映画
今週取り上げる最新映画は、琵琶湖のほとりで脱力気味に繰り広げられる異能者たちの戦いを描く邦画と、銀河の果てでタフなアンチヒーローが臨む、サバイバルと死闘を活写するハリウッド製SFアクション。しばし現実を離れてファンタジーに浸り、肩の力を抜いて気分転換をするのに手頃な娯楽作2本だ(いずれも3月8日公開)。
『偉大なる、しゅららぼん』は、人気作家・万城目学による同名小説の映画化作品。琵琶湖畔の町・石走(いわばしり)に現存する城に、代々不思議な力を伝承する日出一族が暮らしていた。分家の息子・涼介(岡田将生)は、高校入学を機に城に居候し、一族の掟に従って力の修行を始める。日出家の跡取りで最強の使い手という高校生・淡十郎(濱田岳)からは従者扱いされ、振り回される涼介。やがて淡十郎が学校長の娘・沙月(大野いと)に恋したことで、別の力を操るライバル一族との因縁に火がつき、町を巻き込む騒動へと発展していく。
『鴨川ホルモー』『プリンセス・トヨトミ』の原作でも知られる万城目学の小説群は、現代の関西の都市を舞台に、時代がかった非日常が浸食してくる、「マキメワールド」とも呼ばれる独創的な展開が特徴。本作でも、今どきの普通の若者が、くせ者ぞろいの一族と自らが秘めた特殊能力に翻弄されながら成長してゆく姿がユーモラスに軽やかに描かれ、岡田将生の大真面目な演技も笑いを誘う。年齢不詳な高校生役の濱田岳が味わい深く、深田恭子、貫地谷しほり、佐野史郎ら個性派共演陣も作品世界に見事にハマった。メガホンを取ったのは新鋭の水落豊監督。
『リディック ギャラクシー・バトル』(R15+)は、『ピッチブラック』(00)、『リディック』(04)に続きヴィン・ディーゼルがダークヒーロー、リディックに扮するSFアクションシリーズ第3作。宇宙を統べる一族の王座に就いたリディックだったが、重臣らの反乱に遭い、灼熱の荒野が広がる惑星に置き去りにされてしまう。凶悪なエイリアンが生息する星から脱出するため、リディックは宇宙に向けてビーコンを発し、自分の首を狙う賞金稼ぎを惑星のシェルターに呼び寄せる。手を組んだ2組の賞金稼ぎとリディックの死闘が始まった時、嵐とともエイリアンの大群がシェルターに迫る。
メガホンを取ったデビッド・トゥーヒーは、シリーズ3作のほか、『アライバル 侵略者』(96)の監督、『ウォーターワールド』(95)、『クローン』(01)の脚本も手がけ、SF映画ファンには知られた存在。シンプルな原題“Riddick”に対し、「銀河の戦い」を足した邦題はやや盛りすぎ。ディーゼルにとって、1作目が出世作になったことから、今作のため自宅を抵当に入れて製作資金を捻出し、ファンの期待に応えたという裏話が泣かせる。それほど愛着のあるキャラクターを、マッチョな肉体と機敏なアクションで熱演するディーゼルの“男気”に、日本の観客がどれだけ応えられるか。過激なバイオレンス描写を含むが、そんなB級テイストも合わせて楽しみたい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『偉大なる、しゅららぼん』作品情報
<http://eiga.com/movie/78528/>
『リディック ギャラクシー・バトル』作品情報
<http://eiga.com/movie/79161/>
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