声優の音楽作品の評価が高まっているのはなぜ? 『本人先行型』が普及した背景
#リアルサウンド
【リアルサウンドより】
声優の音楽作品の評価が高まっている。昨年は、花澤香菜が渋谷系~ポスト渋谷系アーティストである、北川勝利、中塚武、カジヒデキ、ミト(クラムボン)らを迎えてのファーストアルバム『claire』を制作。竹達彩奈は、沖井礼二、筒美京平、奥華子や末光篤、川本真琴にいしわたり淳治らを迎えた『apple symphony』をリリースした。このように、他ジャンルのアーティストとコラボレーションすることで、作品が評価される声優は少なくない。中には、水樹奈々のように、アーティストとしての活動が大成功するロールモデルも現れている。
今年に入ってからは、上坂すみれが3月5日にリリースする『パララックス・ビュー』では、大槻ケンヂが作詞で参加したほか、3月12日に発売を控えた堀江由衣の新作『The▽World’s▽End』(▽はハートマーク)では、清竜人が全楽曲の作曲を手掛けている。さらに、先述の花澤香菜が、北川勝利と再びタッグを組み、新しく西寺郷太(NONA REEVES)や小出祐介(Base Ball Bear)も参加した、セカンドアルバム『25』を2月26日にリリースした。
そのような作品のリリースは、以前よりもちろんあったが、近年はより活発化している。全くなかったわけではないが、近年は、より目につきだしているのかもしれない。アーティストとして評価の高い声優は、何故年々増えているのだろうか?このことについて、声優のアーティストに詳しい音楽関係者は以下のように語った。
「声優が歌う曲としては、タイアップや主題歌ありきで制作されたりする『制作陣主導型』がほとんどで、アニメソングなどに使われるイメージがありましたが、最近は本人の音楽的な趣向を汲んだうえで、他ジャンルのアーティストを制作陣に迎え入れる『本人先行型』という手法が増えています。同手法が増えて、アーティストとして注目が集まったことが要因の一つです。豊崎愛生や上坂すみれ、花澤香菜などが、これを取り入れたタイプのアーティストでしょう」
「本人先行型」が売れるためには、ある条件を満たすことが重要だという。
「インターネットラジオなどの媒体で、自分のルーツや趣味を自由に紹介出来ている人が売れている傾向があります。声優にとってラジオは活動のベースになるファンを獲得する、大きな手段の一つですから。自分の好きな曲を紹介し、流すことで、キャラクターとしてのブランディングにもつながりますし、曲を出すとなった時も王道のアニソン的なものではなく、自分の趣味に合った音楽が作られる。ファンはラジオを通して、それを受け入れる体制が出来ていますね。例えばですが、花澤香菜がカラオケで歌う曲として、『チャットモンチー』と『相対性理論』を挙げていたり、上坂すみれが『かねてから好きなアーティスト』として、大槻ケンヂの曲を紹介し、番組内でオンエアしていました」
このように、事前にファンに向けて自分の世界を知ってもらうことで、大胆なコラボレーションが生まれることで、リスナーを惹き付けるケースが声優アーティストの場合には多いようだ。
今後もこのように、ラジオを経由して、アーティスト性を確立する声優はどんどん現れてくると思われる。その中から、水樹奈々のように、オリコンチャート上位に食い込む声優アーティストがどんどん現れてくるという可能性は少なくないのかもしれない。
(文=編集部)
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