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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.261

映画館が“乱交パーティー”会場と化す『愛の渦』8人の男女が組んず解れつ全裸でお付き合い!!

ainouzu02.jpgニート青年役の池松壮亮と性欲の強い女子大役の門脇麦。2人ともブレイクが確実視されている期待の若手俳優です。

 舞台版の初上演の際に「3~4回、実際に乱交パーティーに参加した」とあっけらかんと話す三浦監督だけに、乱交プレイが始まる直前のリビングルームに漂うモヤモヤ感がとてもリアルに描かれている。男も女もみんなエッチ目的で集まっているのに、誰かが口火を切るまではお互いに空気を読み合い、ビミョーな駆け引きが繰り広げられる。すでにバスタオル一枚で臨戦態勢になっているものの、まだ自分の性欲に素直になりきれない男たち女たち。初対面の集まりでは、ついつい遠慮しがちでお行儀のいい日本人。裏風俗を舞台にした『愛の渦』だが、裸の日本人論としても興味深い。

 無口な女子大生(門脇麦)とニートくん(池松壮亮)、ヤリチンのフリーター(新井浩文)と派遣OL(三津谷葉子)、サラリーマン(滝藤賢一)と保育士(中村映里子)、童貞(駒木根隆介)と常連(赤澤セリ)の顔合わせで一回戦がひとまず済み、リビングルームは一転して和やかな雰囲気に。打ち解けたムードの中で、それぞれ自分の職種やパーティーに参加した動機を語り始める。お互いに恥ずかしい部分を見せ合った仲なので、普段は家族や知人にも話さないような本音まで打ち明けてしまう。まぁどうせ、ひと晩だけの付き合いだし。一期一会の男女の関係が何だかものすごく高尚なものにさえ感じられてくる。そして二回戦へと進むと、密室下に置かれた8人の男女関係は早くもズブズブなものになり、遠慮も恥じらいもない下半身主体の対話へと移行していく。ここらへんの空気感、人間関係の変容ぶりは、長年にわたって舞台演出を手掛けてきた三浦監督だけに抜群にうまい。

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