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週刊誌スクープ大賞

NHK新会長 前代未聞の大放言で危惧される、“言論機関”NHKの行く末――

 NHKの新会長になった籾井勝人氏(70)の就任会見での“放言”が国際問題になっているが、これも安倍首相の人事介入に端を発しているのだ。新潮の特集が一番読み応えがあった。これが今週の第1位。

 おさらいしておくと、戦時の従軍慰安婦について問われた新会長は、こう話したのである。

「戦争をしているどの国でもあったでしょ。独仏にありませんでしたか。そんなことはない。じゃあ、なぜオランダに、今ごろまだ飾り窓があるんですか。僕が一番不満なのは、韓国が今やっていること。日本だけが強制連行したみたいなこと言っているからややこしい。『カネ寄越せ、補償しろ』と言っている。全て、日韓条約で解決しているのに、なぜ蒸し返されるのか」(新潮より)

 このほかにも、問題発言はまだある。

「尖閣諸島・竹島などの領土問題で、一部経費を国が負担する海外向け放送による政府見解の発信強化に意欲を見せ『政府が右ということを左というわけにはいかない』と述べた」(1月28日付朝日新聞より)

 この御仁、三井物産で鉄鋼一筋でやってきて、役員、米国法人の社長、02年には専務に昇格し、一時は次期社長かといわれたことがあったという。

 だが、籾井氏が通っていた銀座のオーナーママによると、物産の社長になれないとわかったとき、会社のデスクをひっくり返して暴れたという。

 そのバーでも酔って暴れて出入り禁止になったというから、粗暴の人のようである。

 子会社の社長になっても実績を残せず、終わったと思われていたのが、今回の抜擢人事で有頂天になり、

「俺が会長として、放送をひいてはメディアを変えてやる」(NHK幹部)

と意気込んでいたようだが、ハナからつまずいてしまった。

 メディアの長たる者が、権力者に阿(おもね)って韓国批判をしたついでにヨーロッパの国名を挙げて中傷するなどは、前代未聞である。メディアのイロハもわからず、権力のポチになり下がった人間にNHKを委ねていいはずはない。

 三井物産は過去にも元会長の池田芳蔵氏がNHK会長になったが、わずか9カ月で辞任に追い込まれたことがある。今回はいつまで持つのだろう?

 今ひとつ、気になることがある。NHKの会長人事は12人の経営委員会で決定される。昨年12月に安倍首相は、そこへ自分と親しい4人の経営委員を送り込み、籾井氏が選ばれたのだが、そのひとりである作家の百田尚樹氏が、この件についてこうツイートしたといわれる。

<毎日新聞では、籾井氏の発言に対し、「経営委員側からは『外交問題に発展しかねない。選んだ側の責任も問われる』と失望の声がもれた」とあるが、少なくとも経営委員である私は何も言っていないぞ。誰が失望したんや!名前書けや>

 また、百田氏は都知事選に関して、こうもツイートしているそうだ。

<私は関西在住だが、舛添にも細川にも、東京都の知事にはなってほしくないと思っている。もし私が東京都民だったなら、田母神俊雄氏に投票する>

 誰を支持するのも勝手だが、こういう考えの人間たちが大メディアであるNHKを支配しているのかと思うと、情けなくなる。

 このままではNHKは言論機関ではなくなってしまう。そうした危機感が内部から出てこなければいけないはずであるが、今のところ聞こえてこない。
(文=元木昌彦)

最終更新:2014/02/03 18:27
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