ポン・ジュノ監督が宮崎アニメについて語った!「SFとアニメは作家のメッセージが最も発露する」
#映画 #インタビュー
──やっぱり『コナン』の影響があるんですね(笑)。米国や英国を中心にしたグローバル社会への異議申し立てを『スノーピアサー』には感じます。世界の映画の中心はハリウッドではないよという意味も込められているんでしょうか?
ポン いやいや、そんなつもりはありません。ひとつの産業というのはとても大きなもので、映画産業に対して自分の立ち位置を作品を通して表明しようなどとは考えていません。これまで自分が追い求めるイメージを追求しながら5本の長編映画を撮りましたが、自分が表現したい作品を自分の理想通りに撮りたいという想いだけでやってきたんです。映画産業の中で自分はどの立場に立ち、どのような路線で作品を撮っていこうという方向性は別にありません。そういったことはプロデューサーが考えてくれればいいと思っているんです。
──『悪魔を見た』(10)のキム・ジウン監督はシュワルツェネッガー主演作『ラストスタンド』(13)で、本作のプロデューサーを務めたパク・チャヌク監督はミア・ワシコウスカ主演作『イノセント・ガーデン』(13)でそれぞれハリウッド進出。近年は韓国映画界の人材の世界進出が目立ちます。
ポン 『グエムル』がカンヌ映画祭で注目され、僕にも海外エージェントが付き、いろんな脚本が送られてくるようになりました。その中には本当に完成度が高く、面白くて、「映画化されたら、ぜひ自分が客になって観たい」と思う脚本も少なくないんです。ハリウッド作品もありましたし、非ハリウッド作品もありました。でも、やはり自分自身で考えたオリジナル企画に比べると「この作品は絶対に自分が映画化してみせる」という心の奥底から込み上げてくるものがないんです。キム・ジウン監督らは他の人が書いた脚本をうまく演出する才能を持っています。僕もそのようにできれば、もっと多くの作品を発表できるでしょうね(苦笑)。自分の中で熟成し、「これだけは絶対に作品にしたい」という想いが込み上げたときには必ず作品にするようにしています。どうやら、それが僕にとっての短所でもあり、同時に長所でもあるようですね(笑)。
(取材・文=長野辰次)
『スノーピアサー』
原作/ジャン=マルク・ロシェット、ベンジャミン・ルグランド、ジャック・ロブ 脚本/ポン・ジュノ、ケリー・マスターソン 監督/ポン・ジュノ 出演/クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、ティルダ・スウィントン、オクタヴィ・スペンサー、ジェイミー・ベル、ユエン・ブレムナー、コ・アソン、ジョン・ハート、エド・ハリス 配給/ビターズ・エンド、KADOKAWA 2月7日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
(c)2013 SNOWPIERCER LTD CO,ALL RIGHTS RESERVED
<http://www.snowpiercer.jp>
●ポン・ジュノ
1969年大韓民国生まれ、ソウル在住。ペ・ドゥナ主演作『ほえる犬は噛まない』(00)で長編監督デビュー。実在の未解決連続殺人事件を題材にした監督第2作『殺人の追憶』(03)が大ヒット。怪獣パニックムービー『グエムル 漢江の怪物』(06)は韓国映画史上に残るメガヒットを記録。ウォンビン、キム・ヘジャ主演作『母なる証明』(09)は世界各国で映画賞に輝いた。監督第5作となる『スノーピアサー』は2013年に韓国で公開され、900万人を動員する記録的な大ヒットに。世界167カ国での公開が決定している。
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