小泉麻耶が語る女性にとっての“風俗”という仕事、そしてグラビアから女優へと転身する難しさ
#映画 #インタビュー #小泉麻耶
■ぶっちゃけて聞いた風俗のお仕事
──『暗闇から』の沙織役は、衣装や持ち道具も自分で用意したと聞いています。
小泉 持ち道具に関しては、バッグや財布まで自分で全部用意するべきだったなと反省しています。脚本では、お客さんの家に沙織が忘れ物するのは腕時計だったんですが、「腕時計はどこででも外すものだから、ネックレスとかのほうがいいんじゃないですか」と私から提案したりしましたね。衣装に関しても、私なりに風俗嬢の着ている衣服を研究していたので、自分で買いに行ったり、自分のものを提供したりしました。下着も自分で買ってきたんですが、透けていたので、自分で裏地を張って縫いました。
──DIY精神あふれる女優!
小泉 はい(笑)、やっぱり自分の役ですし、自分が身に着けるものですから。作品によると思います。戸田監督は私のアイデアに耳を傾けてくれたので、そこはすごく感謝しています。
──友達の風俗嬢からいろいろ聞いたとのことですが、印象に残ったことは?
小泉 沙織と同じような答えが返ってきたんです。「ねぇねぇ、ぶっちゃけ風俗の仕事って、どーゆー感じなの?」と訊くじゃないですか。そうすると「え~、やることはフツーに同じだよ」って。「えっ、フツーって?」と尋ねると「だって、みんなするじゃん」って。
──みんなするじゃん(笑)。
小泉 ガールズトークだし、私が聞いた友達は、あけすけなんです(笑)。「風俗の仕事も、恋人にしてあげるのと同じだよ」って。「障害者の場合は動かないから楽かな。でも、自分が全部動かなくちゃいけないから、大変なのかなぁ」ってリアルな声が聞けましたね。なるほど、なるほどと。そういう言葉は、自分の中に染み込んできましたね。
■変わらないと思っていた日常風景が変わった
──撮影現場はどうでしたか?
小泉 マネージャー役の津田寛治さんと一緒のシーンから撮影が始まったんです。私はまだ芝居の経験が浅くて、自分が分かってないことすら分かってない状況だったんですが、津田さんはいつもニュートラルでいてくれて、すごく親切だし、素敵な役者さんだなって感じましたね。本当に頼りがいのあるマネージャーみたいでした。お客さんの順番は劇中の順番通りでした。筋ジストロフィーの患者さんを演じた管勇毅さんは撮影前に戸田監督と一緒に実際に筋ジストロフィーの患者さんの家を訪ねて、1日過ごして役づくりしたそうです。それで撮影現場には筋ジストロフィーの患者の方と女性パートナーの方も監修として来られて、狭い現場の割には人数が多かったんです。そんな中で私は脱ぐ場面だったんですが、管さんは「僕は見ないようにするね」って自分の手で目隠ししてくれた(笑)。緊張気味の私を和らげようと気遣ってくれた、とてもジェントリーな役者さんでした。その次がホーキング青山さん。
──身障者芸人・ホーキング青山のアドリブ演技に、思わず吹き出してしまったと。
小泉 前半は表情を抑えた演技で通すつもりだったのに、ホーキングさんのアドリブのせいで、すっかり私の思い描いていた演技プランは崩壊しましたね(苦笑)。後で、戸田監督に「ごめんなさい。あのシーンはもっとちゃんとするつもりでした」と謝りのメールをしたんです。でも戸田監督は「どんな人間でも、ドン底に堕ちても、くだらないことで笑うことってあるよ。それが人間だよ」って言ってくださって。完成した作品を観たらドキュメンタリーっぽい感じに仕上がっていて、良かったです。
──3番目のお客を演じた俳優には、胸をガン見されちゃったそうですね。
小泉 森山晶之くんは若い役者さんなんですが、戸田監督から「お前、勃つなよ」と言われて、現場は大変でした(笑)。下半身不随の役だったので、パンツを2枚はいた上に前貼りまでさせられていたんですが、そのせいで(股間が)膨らんでるように映ってしまって。それで、またパンツを脱がせて、前貼りを剥がして……と(笑)。撮影中は大変でしたけど、今考えると笑っちゃいますね。このシーン、目を手で覆ってくれた管さんと違って、森山くんには、しっかり見られてしまいました(笑)。
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