コンプライアンスをオモチャにする『クイズ☆正解は一年後』の企画力
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そして『クイズ☆タレント名鑑』『テベ・コンヒーロ』イズムを色濃く感じる悪ふざけが極まったのが、「プロ野球日本一になるのはセ・リーグのチームか、パ・リーグのチームか」という2択問題だ。突如、挟み込まれたこのクイズ。チームごとに回答し、外れると「ちょっとした罰」が下されるという。この制作チームの「ちょっとした罰」といえば『テベ・コンヒーロ』で恒例となり出演者に恐れられた、獣神サンダー・ライガーのビンタだ。日本一が楽天に決まった直後、淳とマスパン(枡田アナウンサー)、そしてライガーが集まった。「ちょっとした罰」を執行するためだ。2択問題に不正解だった出川チーム(出川哲朗、いとうあさこ、オードリー)と大久保チーム(大久保佳代子、おぎやはぎ、児嶋一哉)全員に罰を執行するのは「ライガーの負担が大きい」ということで各チーム一人、罰を受ける代表を決めることに。
「何かとコンプライアンスが叫ばれる昨今ですので、ヤラセとか捏造を疑われない公正な方法で決めたいと思います」
と、マスパンが宣言して取り出したのが「こっくりさん」。彼らは大真面目に「こっくりさん」を呼び出すと、3人の指が静かに動き始める。そして指は「か」の方向に向かう。さらに「す」、続いて「が」を指すのだった。「コンプライアンス」を逆手に取った、ヤラセだとか捏造なんてことを言わせない、バカバカしい着地点。
思えばこの番組やこのチームは「コンプライアンス」や「自主規制」、そして「テレビのルール」をいつだってオモチャのようにして遊んで笑い飛ばしてきた。この日も1年後の状況が分からぬままキャスティングしたパネラーゆえ、裏番組出演NGというテレビのルール、すなわち「大人の事情」などで欠席者が出た。すると、そんな状況を逆手に取り、生放送で飛び入り出演してくれるタレントを呼びかけたのだ。その欠席者のひとりが、大久保チームの児嶋。実は、大久保チームでライガーからの「ちょっとした罰」を受けたのが児嶋だった。それを「大人の事情」を盾に放送しないどころか、「無効」として、児嶋の代わりに飛び入りでスタジオを訪れたあかつに改めてライガーの罰執行を命じるのだった。まったく関係がないのに罰を受けることになり、ライガーから「マジで嫌だって!」とあかつが逃げ惑うバカバカしさ―――。
おそらく『クイズ☆正解は一年後』のような企画は、これまでも挙がったことはあっただろう。しかし、テレビ界の常識やルールをそのまま受け入れていたら実現するのは難しい。いかにルールを守りながら、常識を破っていくか。企画力とは面白いアイデアを出すことではない。それをいかに実現するか、だ。規制やルールは決して面白い番組を作る障害になるばかりではない。使い方によっては武器にもオモチャにもなるのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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