トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > TV界の規制を逆手にとった番組
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第43回

コンプライアンスをオモチャにする『クイズ☆正解は一年後』の企画力

ichnengo.jpgTBS『クイズ☆正解は一年後』

「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。

「矢口真里夫妻!」

 離婚する芸能人夫婦を予想するクイズに答えたサバンナ高橋に、スタジオの共演者たちは一斉に「えーー!?」と声を上げた。

「あそこ、なんか安泰っぽいけど……」と、司会のロンドンブーツ1号2号の淳もいぶかしむ。それもそのはず、このやりとりが収録されたのは2013年1月。そして、それが放送されたのが2013年12月30日だったのだ。収録された当時はまだ、あの不倫騒動が起こる前。離婚危機どころか、おしどり夫婦として名を馳せていた。しかし高橋は、番組収録で中村昌也と番組で一緒になった時、「しんどそう」と感じ取っていたという。それが、1年越しの奇跡的な正解を導いたのだ。

「だから僕、ニュースで出だした頃、『当たる! 当たる! 当たる!』って思ってましたもん」

と高橋は興奮して振り返った。

『クイズ☆正解は一年後』(TBS系)はその名の通り、1年前にその後に起こることをクイズとして出題し、予想した答え合わせを約1年後の生放送で行うという、1年がかりのクイズ番組だ。

 よく年始めの番組などで、「今年の大予想」などの企画が放送される。「ああ、なるほど、いい予想だなぁ」「当たってたら面白いのに」なんてことを思っても、いつの間にかそんなことは忘れてしまうのが常だが、この番組はそうならないために予想部分を1年間放送せずに寝かす、という選択をしたのだ。収録したまま1年間寝かすということは、なんらかの理由でお蔵入りしてしまう危険性もあり、これまでのテレビのルールからは逸脱している。だから前代未聞だ。番組で「今年、結婚する芸能人は?」という問題も出題されるが、その時はまさか、司会の淳が結婚するとは本人以外、誰も予想だにしていなかったのだ。

 演出・プロデューサーは藤井健太郎。司会の淳とのコンビといえば、あの『クイズ☆タレント名鑑』(同)や『テベ・コンヒーロ』(同)でやりたい放題の限りを尽くした組み合わせ。回答者も、おぎやはぎ、オードリー、FUJIWARAら、『タレント名鑑』などでもお馴染みのメンバー。だから、番組の雰囲気そのままに、ちゃんと予想するだけではなく、チームワーク抜群で言いたい放題、悪ノリを繰り返す。そこにアクセントとして「今が旬チーム」が参加している。「今が旬」といっても、その「今」は2013年1月。流行の移り変わりが早い昨今、1年後の放送日には「旬」でない可能性のほうが高い。幸い今回は、スギちゃん、鈴木奈々、武井壮、レイザーラモンRGはテレビから消えずに残り、中にはさらに旬になった者もいるが、すでに消えてしまっていることさえ考えられる、下世話な興味をかき立てられるキャスティングである。

 出題されたクイズは「今年、結婚する芸能人は?」「今年、離婚する芸能人は?」「今年の24時間テレビのマラソンランナーは?」「今年、芸能界で起こる出来事は?」など。冒頭に挙げた通り、「離婚する芸能人」では高橋が見事、矢口真里の離婚を的中させカタルシスを存分に味わったが、もし不正解だったら失礼なだけ。そんな失礼で猥雑な発言が、次々と飛び出すのだ。

「今年、芸能界で起こる出来事は?」のような漠然とした問題では、ボケ合戦に。「LiLiCoが心の健康を崩す」「岸谷五朗が酔って誰かを殴る」「西川史子先生がぼやさわぎ」など、その場のノリで発した1年前の失礼発言を番組は丁寧に蒸し返す。そのさじ加減が絶妙だ。一方で「24時間テレビのマラソンランナー」を「AKBのメンバーでリレー」などという、実際の“正解”よりもいいアイデアではないかというような回答もあって面白い。

12
ページ上部へ戻る

配給映画