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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 楽しいだけのテレビは終焉?
「テレビ裏ガイド」番外編

テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2013年のテレビ事件簿【バラエティ編】

■楽しいだけのテレビの終焉?

 今年、なんといっても大きな話題は、30年以上続いてきた『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の終了が発表されたことだろう。「楽しくなければテレビじゃないじゃん」という理念を体現するかのように『いいとも!』は、情報番組全盛の平日の昼という時間帯で、何の情報もない、なんの役にも立たない、バカバカしくて不毛で楽しいだけの番組を作り続けてきた。しかし、それが終わってしまう。

 折しも「どういう企画会議をしてこれをやろうと思ったんだ?」と首をひねるほど毎回ハチャメチャで意味不明、けれど見ているとただただ楽しかった『ザ・狩人』(日本テレビ系)も、ついに今年終わってしまった。『GARIGARIくりぃむ』『GURIGURIくりぃむ』(テレビ朝日系)と、さまざまに番組タイトルを変えながらも一貫して「くだらない」バカな企画を繰り返していたくりぃむしちゅーのテレ朝深夜番組も『ギリギリくりぃむ企画工場』にリニューアルされると、ゲストの芸能人や一般人の「まいった」話を聞き、一番「まいった」話を決めるという「まいったなぁ互助会」なる「くだらなさ」を期待する視聴者からは「まいったなぁ」と天を仰ぎたくなる番組に変貌してしまった。『リンカーン』(TBS系)が終わり、あのダウンタウンまでも『100秒博士アカデミー』(同)、『教訓のススメ』(フジテレビ系)といった教養バラエティを始めた。こうして「くだらない」「楽しいだけ」の番組が終わってしまう。もはや楽しいだけではテレビ番組は続かないのだろうか?

 だが、希望もある。『ゴッドタン』(テレビ東京系)は相変わらずフルスイングでバカ企画を連発し、ついに今年、看板企画である「キス我慢選手権」が、そのまままさかの映画化。『クイズ☆タレント名鑑』の流れをくむ『Kiss My Fake』(TBS系)が始まり、ジャニーズアイドルKis-My-Ft2を隠れ蓑に、やりたい放題やっている。『ギリギリくりぃむ』も年明けにはくだらない企画をやってくれそうだ。また「楽しい」が人の形をしたようなレイザーラモンRGは、いたるところに出没し、くだらない笑いを届けている。そしてコンビとして『THE MANZAI』(フジテレビ系)決勝にも進出した。楽しくなければテレビじゃないのだ。

■総括~境界線からの熱~

 印象深いのは、『アウト×デラックス』(フジテレビ系)、『有吉反省会』(日本テレビ系)、『東野・有吉のどん底』(TBS系)といった番組で取り上げられた“境界線”を行き来する人たちだ。彼らの多くは何か「好き」なものに対して過剰な熱量で取り組んだ結果、境界線上に立つことになり「どうかしてる」烙印を押されている。今、そんな「どうかしてる」過剰な熱量の人たちが面白いのだ。『アウト×デラックス』や『ナカイの窓』(日本テレビ系)に出演し、過剰な熱量で「どうかしてる」姿を見せた森脇健児が再び注目され始めたのが象徴的だ。『YOUは何しに日本へ?』のYOUたちも過剰な熱量で楽しんでいるからこそ、魅力的なのだ。ラジオでは、「熱」を掲げるダイノジ大谷が深夜枠のオールナイトニッポンと夕方の帯番組のパーソナリティを掛け持ちするという、タモリ以来(1980年10月~83年9月『だんとつタモリ おもしろ大放送!』と『タモリのオールナイトニッポン』を掛け持ち)の快挙を果たした。この流れがいずれテレビにもやってくるかもしれない。

 思えば、今年大活躍した有吉や大久保佳代子、壇蜜らはもともと境界線を行き来していた人たちだ。かつてのタモリだってそうだった。テレビは何が起きても不思議ではない。本流からよりも境界からやってくるほうが、いつの間にか主流のど真ん中に立つことだってある。そんな“奇跡”がテレビを面白くしてくれるのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 18:02
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