園子温、入江悠に続く“第三の男”鈴木太一監督、キンコメ今野が明かす性格破綻ぶりがすごすぎる!
#映画 #DVD #くそガキの告白
──特別 vs.特殊。ある意味、いい勝負ですね。「俺も将来は女優を嫁にするぞ~!」とか野心に火が点いたりした?
鈴木 いや、園さんに対しては素直に「ご結婚、おめでとうございます!」と言えますけど、ほかの監督たちが女優と結婚したなんて話を聞くと、印象悪いですね。なんかスカした感じがするんですよね。監督は女優を狙っている、みたいな目で自分も見られているかと思うと、イヤになりますよ。
今野 自分だって女優と付き合うことがあるかも知れないんだから、あんまりほかの監督のことを口撃しないほうがいいんじゃない?
鈴木 いや、自分は絶対無理だから。でも、気になるじゃないですか。一体、どういうタイミングで女優と仲良くなったのかなぁとか……。
──やっぱり気になるんですね(笑)。『SRサイタマノラッパー』(09)の入江悠監督も気になる存在?
鈴木 まぁ、言ってみれば僕がもっとも憧れる存在が園さんで、最も嫉妬する存在が入江悠ですね。映画監督として悶々としている自分の状況を、『SRサイタマノラッパー』という映画に全部込めて一気にブレークした。入江悠という存在にはやっぱり刺激を受けます。最近の日本映画界で自主映画から最も成功した男なので、自主映画出身の若手はみんな、心のどこかに「打倒! 入江悠」があると思いますよ。
今野 『SRサイタマノラッパー』の宣伝方法を、『くそガキ』はまんま真似しましたしね。『くそガキ』のちらし配りまで手伝ってくれたし。
鈴木 『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)と『くそガキ』の公開時期が近かったんです。それで『SR』のボランティアスタッフだけでなく、主演のマイティー(奥野瑛太)も一緒に『くそガキ』のちらしを配ってくれた。そのときは、入江悠はいなかったけど。
──年下の入江監督のことを、めちゃめちゃ意識してますね。
鈴木 彼はね、作品だけじゃなくて、普段からかっこいいんですよ。『みんな!エスパーだよ!』で入江組の撮影が終わり、続けて僕が撮影に入ったこともあって、若い俳優たちと一緒に飲む機会があったんですが、彼は若い俳優たちの分まで飲み代をサッと出すんですよ。それが、すごくかっこいいんですよ。こっちは財布にあんまりお金が入ってなくて……。「あっ、支払いは?」と聞いたら、「もう、入江さんが払ってくれましたよ」とか助監督に言われると、俺は一体どんな顔をすればいいんだと思ってしまうわけですよ。
今野 映画じゃなくて、いつの間にか飲み会の支払いが話題になってますよ(笑)。
■ダメ監督が愛されるその理由とは……?
──今野さんは『くそガキ』に主演したことで、人生変わりましたか?
今野 『くそガキ』に主演した後、テレビドラマや舞台の仕事が確実に増えましたね。それで現場に行くと、『くそガキ』見たよって声を掛けられるんです。何気に太一監督がマメにプロモーション活動してきたのが、今になって効いてきてますね。映画をつくっている時間より、ちらし配っていた期間のほうが長かったですもんね。
鈴木 そうね。撮影は1週間だったけど、ちらしは劇場公開の1カ月前から配り続けてきたから。主要な新聞社には直接、売り込みに行ったし。まぁ、記事にしてくれなかった新聞社も多かったけど。
今野 田代さんの所属するホリプロに出演交渉しただけじゃなくて、AKB48の仲川遥香さんも太一監督が自分でキャスティングしたわけでしょ。素人の怖いもの知らずのパワーはすごい。
鈴木 仲川さんの事務所からは作品内容じゃなくて「お金は出るんですか?」と疑われてしまった。
今野 そりゃ、疑われますよ。それが普通のリアクションだと思いますよ。でも仲川さん、今はJKT48のセンターでしょ。『くそガキ』のDVD、ジャカルタに持っていけば売れますよ~。
鈴木 そうか、ジャカルタかぁ。インドネシアなら、まだ進出の余地がありそう。早く行ったもんがちだな。
今野 DVDのジャケットを作り替えて、仲川遥香主演作と称すればすっごい売れるんじゃないですか(笑)。
──では最後に、DVDリリースされる『くそガキの告白』のPRで締めてください。
今野 DVDはまだ見てないんだけど、特典とかあるんですかね?
鈴木 今野さん、田代さん、撮影の福田陽平さん、俺の4人でやった裏話満載の副音声に、メイキング映像、ラストのキスシーンのロングバージョンが付いてくる。それに初回限定として、『くそガキの告白』という題名になる前の初稿段階のシナリオ『俺』が封入される。
今野 あぁ、最後に一方的にキスを迫るひどいエンディングのやつだ。
鈴木 うん、完成された最終形のシナリオは読む機会あると思うけど、いちばん最初の原型のものを見る機会はそうないんじゃないかな。
今野 こんなシナリオで見切り発車しても、どうにかなるもんだといういい見本でしょうね。ほんと、太一監督って、みんなに生きる勇気と希望を与えていると思いますよ~(笑)。
(取材・構成=長野辰次)
『くそガキの告白』
園子温監督が「本気で嫉妬した!」と評した恋愛コメディ映画がついにDVD化。いつまでも映画が撮れずにいるダメ男・馬場大輔(今野浩喜)と売れない崖っぷち女優・桃子(田代さやか)との伝説のキスシーンが甦る!
監督・脚本/鈴木太一 撮影/福田陽平 主題歌/太陽族「YOU」 出演/今野浩喜、田代さやか、辻岡正人、今井りか、仲川遥香、高橋健一、石井トミコほか http://kuso-gaki.com
■ 12月3日よりDVDリリース。発売元:日活 販売元:ハピネット 価格:3990円 特典映像:メイキング映像「今野の告白」、キスシーンのロングバージョン、劇場予告編 初回限定封入特典:鈴木太一監督の初期脚本『俺』
■NEWS!
2013年12月10日(火)、『くそガキの告白』DVDリリース記念イベント『キンコメ今野浩喜の誕生日会!~くそガキメンバーでハッピー・バースデイーを祝っちゃおう!~』が19時30分(開場18時30分)よりお台場・東京カルチャーカルチャーで開催。12月12日(木)に35歳の誕生日を迎えるキンコメ今野を『くそガキ』を見た人も見てない人も一緒になって祝おうというイベント。キンコメ今野、田代さやか、鈴木太一監督、太陽族の花男らが出演。料金:前売りチャージ券1800円
●こんの・ひろき
1978年埼玉県生まれ。スクールJCA6期生の同期・高橋健一と「キングオブコメディ」を2000年に結成。M-1グランプリに2002年、2003年出場し、準決勝進出。2010年には「キングオブコント」で優勝。コントで培った演技力を活かし、俳優としても活躍中。『ちょんまげぷりん』(10)『高校デビュー』(11)などに出演。『くそガキの告白』(12)に初主演し、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」にて審査員特別賞、シネガーアワード、ベストアクター賞、ゆうばりファンタランド大賞人物部門の4冠をもたらした。
●すずき・たいち
1976年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、ENBUゼミナールに入学し、篠原哲雄監督の講義を受講する。オリジナルビデオ『怪奇!アンビリーバブル』シリーズの演出・構成でキャリアを積み、『くそガキの告白』(12)で長編監督デビューを果たす。『くそガキ』は「ゆうばりファンタスティック国際映画祭」で史上初となる4冠を受賞。2013年は深夜ドラマ『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系)の第4話、第5話の脚本&演出を担当した。
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