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前田敦子が凄腕バンドと共にCDJ登場! ロックフェスの客は彼女をどう受けとめたか

 何より、会場のお客さんの心をグッと掴んだのが後半で披露したMCだった。

 「去年の31日、実はお友達と一緒にここ(幕張メッセ)に来てたんです。カウントダウンにはくるりを観てました。女王蜂も観たかったんだけど、混んでて入れなくて……。だから、今年呼ばれて、ほんとに驚いたんです」

 去年のフェスに一人のお客さんとして訪れていたというエピソードを明かし、オーディエンスの驚きと共感を呼んでいた。これまでテイラー・スウィフトの大ファンと公言し、たびたび憧れを表明してきた彼女だが、ソロ転向後の音楽性も50年代~60年代の古き良きアメリカンポップスやロックを踏襲するもの。そういう意味ではキャリアある凄腕プレイヤーを揃えたバックバンドとの相性もいい。新曲のロック路線もどちらかと言えばオーセンティックなもので、いわば「和製テイラー・スウィフト」として、彼女本人の志向性にもかなりハマるものになっている。

 ただし、課題もあった。中盤に披露した「頬杖とカフェマキアート」「Flower」は、どちらもミドルテンポのバラード。曲としては悪くないのだが、お客さんの大多数が一体感を持って盛り上がることを求めているフェスやライヴの場では、あまり機能しづらいタイプの曲調である。実際、様子見っぽいムードを醸し出していたお客さんがこの2曲の間にポツリポツリとステージを去り、満員に近かったフロアに少しずつ空きが生まれていた状況もあった。その後のMCでグッと会場のムードを変えただけに、このあたりのステージ構成は、この先に向けて改善の余地ありと言ったところだろう。

 最後にはバックをつとめたミュージシャンを一人ずつ紹介、「バンドメンバーにも拍手を!」と呼びかけていた前田敦子。終演後には「バンドメンバーの皆さんのおかげ!!大好き!!」とツイート。ラストに披露した「セブンスコード」の最後にはジャンプした勢い余って尻もちをついていた。そういうところも含めて、女優兼ロックシンガーとして憎めないキャラ、愛されるアイコンになっていきそうな彼女の可能性を感じた。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

最終更新:2013/12/29 09:00
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