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トム・ハンクスが迫真の演技で魅せる“普通の男”『キャプテン・フィリップス』

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 今週紹介する最新映画は、ベテランのハリウッドスターたちが奮闘するアクションとサスペンスの2作品。シニアな主人公らの体を張った活躍に、中堅・若手世代の観客も大いに刺激を受けるはず。


 『REDリターンズ』(11月30日公開)は、引退した元CIA工作員らが国家的陰謀に立ち向かう姿を豪華スター競演で描いた娯楽アクション大作『RED レッド』(2010)の続編。CIAからRED=「引退した超危険人物」のコードネームで呼ばれるフランク(ブルース・ウィリス)、マービン(ジョン・マルコビッチ)、ビクトリア(ヘレン・ミレン)らは、米ソ冷戦時代の極秘核兵器開発計画が露見したのを機に、再び戦いの舞台に呼び戻される。狂気をはらむ物理学者ベイリー(アンソニー・ホプキンス)、REDメンバーの暗殺指令を受けたハン(イ・ビョンホン)といった面々が入り乱れ、刻一刻と迫る核爆発の危機を、フランクらは救うことができるのか……。

 銃火器をブッ放すド派手なバトルは前作と同様だが、新たにイ・ビョンホンが参戦したことで、格闘アクションの見せ場が大増量。ウィリスとビョンホンのマッチアップは、今年6月に公開された『G.I.ジョー バック2リベンジ』で実現していて既視感を覚えなくもないが、細かいことは気にせずスピーディーな展開に身を委ねて楽しもう。メアリー=ルイーズ・パーカーが演じるサラは、前作ではREDの死闘に巻き込まれてしまうツイてない素人女性だったが、本作では晴れてフランクの恋人になり、さまざまなスキルを教わってメンバー顔負けの活躍を見せる点も痛快だ。

 もう1本の『キャプテン・フィリップス』(公開中)は、米貨物船の船長がソマリアの海賊の人質になった実際の事件を、トム・ハンクス主演で映画化したサスペンスドラマ。09年春、ケニアへの支援物資を積みソマリア海域を航行していた米船籍のコンテナ船が、マシンガンで武装した海賊に襲われる。ベテラン船長のフィリップスは、乗組員20人に機関室に隠れるよう指示し、船が占拠された後もたった1人で海賊らと根気強く交渉。現金3万ドルを手渡し、船を離れるよう説得できたかに思えたが、海賊たちが乗り込んだ救命艇を発進させる際、フィリップスは拘束され人質に取られてしまう。

 監督は『ジェイソン・ボーン』シリーズ2作品や、『ユナイテッド93』(06)、『グリーン・ゾーン』(06)のポール・グリーングラス。リアリズムにこだわるアクション演出と、実話ベースのドラマをスリリングに再現する構成力を、本作でも存分に発揮した。アカデミー賞主演男優賞に2度輝いたトム・ハンクスは、死の恐怖に直面しながらも乗組員を守るため勇気を振り絞り、家族のもとに生きて帰りたいと願う「普通の男」を迫真の演技で演じきった。米海軍特殊部隊ネイビーシールズによる、ハイテクを駆使した救出作戦の様子も生々しく再現され、思わず手に汗握ってしまうはず。一方で、海賊という非常手段に訴えるしかないソマリア人たちの窮状への言及もあり、国際的な格差の問題について考えさせる相対的な視点も見逃せない。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『REDリターンズ』作品情報
<http://eiga.com/movie/57263/>

『キャプテン・フィリップス』作品情報
<http://eiga.com/movie/58257/>

最終更新:2013/11/29 21:00
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