デリヘルの市場規模は鳥取県クラス! 世界に広がる「下半身」経済のマーケット
#本
本書で門倉氏は、日本において、地下経済抑制の観点からポルノ解禁を提言。当局が規制をすればするだけ、法律外のポルノは、地下経済を潤す資金源となっていく。インターネットの登場により国境をなくしたポルノ映像、画像を規制していくよりも「北欧諸国のように『見たい人の権利』と『見たくない人の権利』を同時に守るようにしたほうがいい」と門倉氏。また違法とされる売春については、「自らの自由意思で働くセックスワーカーが多数存在しているにもかかわらず、『売春防止法』により売春産業が違法とされるがために、ソープランドをはじめとするセックス産業は、アンダーグラウンド化してしまう。違法であることがネックになって、ソープランドやホテトルなど性風俗で働くセックスワーカーは、労働者として十分な保護を受けることができないのである」と、その合法化措置を真剣に考えている。
もちろん、どこまでが、門倉氏が書くような女性たちの「自由意思」であるかは議論が必要なところ。彼女たちが自ら選んだ選択肢であるとしても、事実上、その選択肢しか選べなかった女性たちもまた少なくないはず。安易に規制の手を緩めることが良策であるとも限らない。
しかし、売春が禁止されているにもかかわらず、ソープランドでは「自由恋愛」の建前のもとに、売春が行われ続け、警察も見て見ぬふりをしている。性に対する男性の衝動は、どんなに国家が禁止しようとも抑えることはできない欲望だ。禁酒法の例を出すまでもなく、国家による欲望の管理がうまくいった事例は多くない。法律が禁止したところで、国家予算規模にまで膨れ上がる男性の欲望はなくならないし、その欲望を利用して金儲けを企む人々もいなくなることはないのだ。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])
●かどくら・たかし
1971年神奈川県生まれ。95年慶應義塾大学経済学部卒業後、銀行系シンクタンク入社。99年(社)日本経済研究センターへ出向、00年シンガポールの東南アジア研究所(ISEAS))へ出向。02年4月から2005年6月まで生保系シンクタンク主任エコノミスト。05年7月からBRICs経済研究所代表。同志社大学大学院非常勤講師(07年度~)。専門は先進国経済、新興国経済、地下経済、労働経済学、行動経済学と多岐にわたる。
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