結成4年で東京グローブ座を埋めたお笑いコンビ・ラブレターズが確かににおわせる「来てる感」の正体
#お笑い #インタビュー
――そういうところで話が合うんですね。
溜口 ありますね。こういうやつ嫌いだよね、とか。
――ラブレターズのネタの特徴を一言で表すとしたら、どういう感じになりますか?
塚本 どうなんだろう、えーっと……「ねじれた青春コント」ですかね。明るい青春ではないです。
――ちょっと心の闇を感じさせるような。
溜口 共感してほしい部分があるんです。僕らはこんなやつなんで、どうか皆さん応援してください、って。笑わせたいっていうより、こういう人もいるよ、僕らを見てくれよ、っていう感覚のほうが強い。教室の隅っこで頑張ってるやつもいるんだよ、っていうのをアピールしたいためのコントなのかもしれないですね。
塚本 だからやっぱり、僕らを好きって言ってくれる人はどこかねじれてるんですよ。
溜口 ネタを書くとき、「ラブレターズっぽい」とか考える?
塚本 考えるよ、一応。行きすぎたら、ああ、やばいやばい、ってなるし。ネタを考えるときには、溜口佑太朗というフィルターを通してどれだけマイルドに届けられるかな、っていうのを考えるんですよ。たぶん、ほかの人がこのセリフを言ったら引くだろうな、っていうところを溜口さんがキャラとか演技で笑える感じにしてくれるんで。それに頼りつつ、自分の言いたいことを代わりに言ってもらおうと思ってるんですけど、たまに「あっ、これを言わせたら、いよいよ僕は人としてダメだな」っていうのがあって。たまにあるでしょ?
溜口 あるね。マジでやばいよ、って。このDVDに収録されているネタでいうと「あの娘ぼくが笑顔見せたらどんな顔するだろう」とかは、特にそうですよね。
――そのネタは、台本を渡されて溜口さんがドン引きしたそうですね。
溜口 ドン引きしました。ああ、もう終わりだな、って。行くとこまで行ったな、っていうのがありますよね。僕のフィルターをどんなふうに見てるのかわかんないけど、僕もそんなに分厚くないですから。
――まあ、でも、かなり分厚いほうだと思いますよ。何を言ってもちょっとかわいく見える、みたいなところがありますからね。
溜口 いやいや、そのフィルターも今はこしすぎてカスカスになってますよ(笑)。
――でも、「あの娘ぼくが……」のネタは、キングオブコントの予選でも披露されていたし、そこでも爆発的にウケていたし、結果的にラブレターズの代表作みたいになってますよね。
塚本 そうですね。だからもう、味しめちゃいますよ。
溜口 こういうのでお客さんが笑うからダメですよね。そうすると、塚本がまたこういうのを書いちゃいますから。お客さんも笑わずに、これはダメなんだって思わせないと。ああ、やっぱポップじゃないとダメなんだ、っていう考えにしないと。
――最後に、このDVDのおすすめポイントを教えていただけますか。
溜口 100%ラブレターズのDVDなので、これで面白くないって言われたらそれはもうしょうがないな、っていう感じです。ハマる人はかなりハマってくれるという自信はあります。面白いっていうか、こういう人たちもいるよ、って伝えたいですね。
塚本 親戚がみんなDVD買いたいって言ってくれてるんですけど、ちょっと怖いんですよね。僕のヤバいとこがバレちゃうよ、って(笑)。
(取材・文=お笑い評論家・ラリー遠田/撮影=名鹿祥史)
●ラブレターズ
塚本直毅と溜口佑太朗からなるお笑いコンビ。2009年結成。活動2年目の「キングオブコント2011」でファイナル進出、7位入賞。
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