10人に1人の童貞男子のために……『練習彼女。』で経験を積むべし、積むべし!
#本
このような本が出版されて、もしかしたら、嘆きの声を上げる人もいるかもしれない。「日本男児たるもの、小娘一人としゃべれないなんて、なんと嘆かわしいことだろうか。草食男子など甘えだ! 大和魂を鍛えあげよ!!」 おそらく、石原慎太郎のような人が言うはずだ。
コンドームメーカー「相模ゴム」の調査によれば、20代男子のうち、童貞率は40.6%、30代になっても9.5%と実に「10人に1人が童貞」という結果が出ている(相模ゴム工業調査「ニッポンのセックス」)。この草食化を放っておいては、少子化に拍車をかけることにもつながりかねないのだ!
『練習彼女。 はじめての「女の子のお店」ガイド』(スコラマガジン)は、恋人を作るためのハウツー本ではない。さらにその前の段階、「恋人を作るために練習をするお店」を紹介するガイド本。例えるなら、ゴルフ場ではなく、ゴルフ練習場に行くためのマニュアルのようなものだ。この本を執筆したのは、これまでに『30歳の保健体育』『オンナノコになりたい!』『合コンなんてこわくない!』(すべて一迅社)などを執筆し、マニュアル本作りに定評のある「三葉」氏。
学生時代から、自然と女の子との会話の方法や関係の築き方を学び、いつの間にかどんな女の子とでもコミュニケーションを取ることができるようになる……一部の人にとっては、そのようなことはごく当然のことなのかもしれないが、別の一部の男性にとっては、まるで別世界の出来事だ。仲のいい男子ばかりで集い、気づけば、母親や姉などの身内女子としか会話をする機会がない。いざ、クラスの女子と会話をしようものならば、緊張のあまり挙動不審になり、言葉はしどろもどろになってしまう。その結果、さらに自信を喪失し、女子とのコミュニケーションのハードルは上がるばかり……と、負のスパイラルに陥ってしまうのだ。
この悪循環を断ち切るためには、女性と気軽に会話する「練習」をしなければならない! というわけで、本書では、お店でコミュニケーションを取ってくれる女性たちを「練習彼女」と定義し、美容院やガールズバー、キャバクラからヘルス、ソープランドに至るまで、恋人を作るためにあらゆる「練習」となるお店がガイドされている。美容院、メイド喫茶、ガールズバーという会話の実地訓練場での振る舞い方や、キャバクラ、デートサービス、出会いカフェ、リフレでの作法、さらにはピンサロ、ヘルス、ソープなどいわゆる”ヌキあり”なお店でのNG項目まで、さまざまなお店のハウツーが指南されている。
「コミュ力を身につけるために必要な要素は『経験』なのです。特に恋愛を視野に入れたコミュニケーション能力は、実際に女性を相手にして養うしかないでしょう」「どんな形であっても、経験を重ねることは成長につながり、ゆくゆくはお店に頼らなくても、自分だけの力で女の子と仲良くなるスキルが身についてくるでしょう」と、本書において三葉氏は「経験」の大切さを語る。いくら、シミュレーションを重ねても女心はわからない。経験し、悩み、成功や失敗を積み重ねながら、男の子たちはだんだんと女性という存在を学習していく。そして、そんなトライアンドエラーの末に、憧れの恋人が待っている。
あくまでも練習に過ぎない……と言ってしまっては、数多の「練習彼女」たちに申し訳がないものの、本書に掲載されているようなお店を通じて女性とのコミュニケーションを練習すれば、30年間童貞をこじらせ続けたあなたにも、きっとかわいい恋人ができるはずだ。そして、恋人ができた暁には、本書を読んでいたことがばれないように、ひっそりと処分することをオススメする。
●みつば
メディア企業にて勤務の後、現在は東京大学大学院に在学中。主な著書に『30歳の保健体育』『オンナノコになりたい!』『合コンなんてこわくない!』(以上、一迅社)など。また、本書の発売にあわせた『練習彼女。』FBページ(http://www.facebook.com/ren.kanojo)を公開中。
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