生き残るのは、まっとうな店だけ『Maid Cafe Style メイドカフェ・スタイル~お帰りなさいませご主人様~』
#昼間たかしの「100人にしかわからない本千冊」
今回紹介するのは、メイド喫茶が全国で爆発的に増加する気配を見せ始めた時期に出版された本『Maid Cafe Style メイドカフェ・スタイル~お帰りなさいませご主人様~』(二見書房)である。この本、全国(+海外)のメイド喫茶30店舗を紹介する、当時としては最も充実したガイドブックである。
まずは、現在も営業を続けている店舗はどれだけあるのかを調べてみた。すると、営業を続けているのは14店舗。約半分は10年あまり(あるいは、10周年を越えて)営業を続けていることになる。
いまや秋葉原の観光資源の筆頭に挙がるのが、メイドであることに異論を唱える者はいない。2001年に開店した「Cure Maid Cafe」に始まるとされるメイド喫茶は、いまやいったい何店舗あるのか……?
気がついたらジャンルの細分化は進み、正統なクラシックメイドスタイルを追求する店から観光客向けのライトなもの、差別化を図るために、メイドではなくほかのコスプレをコンセプトにするものまで、百花繚乱である。
その中で、長く営業を続けることのできる店舗は少ない。そもそも、経営者のほうも長く続けることを考えていないことが多いのだ。そのためか、秋葉原に不動産を所有する企業や個人の中には「メイド喫茶には貸さない」というところも少なくない。すぐ出て行く店子では、諸費用が余分にかかって仕方がないというわけである。
やはり長く続いている店は、コンセプトがしっかりと従業員にまで行きわたり、飲食店のノウハウを心得ているところということができるだろう。
コンセプトが行きわたっていない失敗例として思い出すのが、昨年閉店した「Cos-Cha」だ。昨年閉店したこの店は、スクール水着やらブルマやら、何かと露出重視のイベント日を設定。それを目当てに客が集まり、一時はあまりの混雑に、店に入ることのできない客が路上にあふれて、警察が出動する騒ぎになったこともある。
そうした騒動が少し収まった時期のスク水デーに、どんなものかと店を訪れたことがある。イベント日なので、それなりに混雑はしていたが、行列ができるほどではなかった。早くも飽きられたのかと思いながら店に入り、理由はよくわかった。
給仕をしている女のコたちは、確かにスク水である。スク水ではあるが、上着(長袖のジャージ)を羽織っているのである。しかも、その上着はちょっとオーバーサイズで、お尻のあたりまで隠れているではないか。要は、男のコが最も見たいポイントが、見えないのである……。これでは、上乗せ料金を払った意味は皆無である。なにより、女のコが上着を着ることを黙認している経営側は、もはや客の視点を忘れていたといえるだろう。
オタクの集まる秋葉原ですらそうなのだから、一時、地方に乱立したメイド喫茶のコンセプトのなさは、もっとひどかった。岡山県では中心都市である岡山市を中心に10店舗あまりが乱立するという異常事態になったことがある。「大都会岡山」の人口は、70万人あまり(無理やりな合併で増加)。アニメイトも、メロンブックスも、らしんばんもある岡山市(1Fがアニメイト、2Fがメロン+らしんばんというグループ合体店舗)だが、人口70万人に対して、10店舗は明らかに過剰である。おまけに、メイド喫茶がテレビCMを打って異常さに拍車をかけた。そして、その店舗の多くは単にメイドがはやっているからと参入した水商売系のもので、そもそもコンセプトも何もなかった。どこもキャバクラか何かにしか見えないメイド喫茶ばかりだったのである。
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