「今こそ業界をバッサリ改革すべき」“黒のカリスマ”蝶野正洋が、プロレス界の暗部に斬り込む!
#インタビュー #プロレス #蝶野正洋
“黒のカリスマ”こと、プロレスラー・蝶野正洋。武藤敬司、橋本真也とともに「闘魂三銃士」と呼ばれ、ベビーフェイス(善玉)から「狼軍団」でヒール(悪役)ターン、以降も「nWo ジャパン」、「TEAM2000」を結成し、一大ムーブメントを築いた男。常にプロレス界をリードし、その頂点を極めたカリスマは、業界全体が衰退している今、一体どんなことを考えているのだろうか。著書『プロレスに復活はあるのか』(青志社)で、これまでタブー扱いされていた現役レスラーによる業界への苦言を呈した彼の真意とは?
――まずは、本書『プロレスに復活はあるのか』を出版しようと思ったいきさつを教えてください。
蝶野正洋(以下、蝶野) 今年9月で50歳という節目を迎えたのが理由のひとつ。それまで新日本プロレス(1984~2010年まで所属)で選手兼フロントの立場でやってきて、デビューから10~15年で(自身やプロレス界の)状態がすごく上がっていたんですけど、20年目くらいから下降してきて。それを止められたし、業界全体をもっと上昇させられたはずだという思いがあったんです。
――2000年頃までのプロレス人気をもっと維持、上昇させる手段はあったと?
蝶野 ええ。オレがこれまで蓄えた知識や経験を、プロレス業界全体で共有したほうがいいと思ったんですよ。プロレス団体は昔から分裂を繰り返してきて、新日本プロレスも、今自分がアドバイザーとして携わっている全日本プロレスも、経営陣がもともとプロレス業界じゃない人たちになっている。新日本にいたときも、ユークスさんが経営に入って、現場のことをゼロから教えなきゃいけない状況でした。これは残して、これは切り捨てるという判断は、業界外には分かりづらいし難しいんです。それなのに業界はそのままで進んでしまって、無駄な時間があったなと感じて。ほかの団体もそうですけど、他業種からオーナーが入って来たときに、同じことを繰り返さないように注意したいんです。そうすれば業界はもっとよくなるはずです。
――著書の中では、業界に対して苦言を呈していますが、当の業界関係者からの反響はありましたか?
蝶野 業界に古くからいる人たちからは「本当にその通りです」ってことを言われてますよ(笑)。ただ、それがわかる人たちが、どんどん業界から排除されているのが現状なので、残る人たちにも最後の投げかけになるのかもしれないですね……。新日本プロレスも、上層部はほとんど変わっていますし。
――そんな状況の中で、特に危惧している点はなんですか?
蝶野 業界の、悪い意味でのビジネステクニックがあって、過去を見渡してもそれがトラブルの原因になってることが多いんですよ。そこはやめていくべきだと思っています。
――悪いビジネステクニックといいますと?
蝶野 例えば、チケット販売ですね。チケット=金券(カネ)ですから、そこはしっかり管理しなくちゃいけない。ところが、今でも営業の人間が自分たちで勝手にチケットを発行して、売掛を作っては回収できないってことが多いんですよ。自分で金券を発行しているようなものですから、そこは曖昧にしないで、バッサリ改革するべきです。それを続けていると変な欲がでてくるから、そんな材料なんか持たせないほうがいい。これから業界に入ってくる新しい人たちのためにもね。
――それが、団体が分裂したり揉めたりする原因にもなっていると?
蝶野 新しく入ってくる営業の人が、そういうのを見るのは嫌気が差すと思うんです。それに、チケットのノルマを与えられて、どっかで行き詰まってしまったときに、自分で金券を作れるというのは、なんかの間違いのきっかけになっちゃうし、やる気や正義感のある若い人たちを変な方向に持っていっちゃう可能性も大きいですから。
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