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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.246

イジメに関わったヤツらはみんな断罪するッ!! 現代に甦った“思春期ホラー”の傑作『キャリー』

carrie_02.jpg狂信的なキリスト教信者である母親マーガレット(ジュリアン・ムーア)に育てられたキャリーは「産まなければよかった」という母の言葉に傷つく。

 プロムパーティー(卒業パーティー)で起きる血の惨劇はあまりにも有名だ。友達のいないひとりぼっちのキャリーに、学年でいちばんのイメケン男子トミーが「僕と一緒にプロムに行かないか」と誘ってきた。「からかわないで」と顔をそむけるキャリーだが、冗談でもパーティーに誘われたことがうれしかった。キャリーへのイジメの輪に加わったことに罪悪感を覚えた同級生のスーが恋人であるトミーに「キャリーを誘ってあげて」と頼んだからだったが、はにかんだキャリーの顔が意外とかわいいことにトミーは気づく。母親が大反対するのを押しのけて、キャリーは晴れてトミーに伴われて夢に見たプロムパーティーへ向かう。そして喜びの絶頂から、一気に奈落の底へ。青春の美しさと残酷さの両極を描き切った名シーンだ。キャリーの怒りと絶望が爆発し、パーティー会場は血の海と化す。

 デ・パルマ版は、キャリー役のシシー・スペイセクの目が異様に大きく、腺病質的な表情がハマり過ぎで、「女子の世界は恐ろしい」「日本の高校にはプロムがなくて良かった」とトラウマになりかねないほどの強烈なインパクトを残した。デ・パルマ版に比べ、性同一障害の女性を主人公にした『ボーイズ・ドント・クライ』(99)の女性監督キンバリー・ピアースが撮った今回のリメイク版はストレートなホラー映画ではなく、学園ドラマとしての比重が重い。クロエ・グレース・モレッツ演じるキャリーは自分に超能力が備わっていることを知り、図書館やパソコンでいろいろと調べ、どうすれば社会に適合できるか自分なりに懸命に考える。トミーにプロムに誘われて一度は断るものの、思い切って人の善意を信じてみようと決意する。母親の言いなりで、学校でイジメられてばかりいる人生から何とか脱しようと試みる。それゆえに、悪意を持った一部の存在がプロムパーティーに闖入したことから歪められる、キャリーの「普通の女の子になりたい」という願いがより切なく響く。キャリーがこれまでの人生で溜め込んでいたネガティブエネルギーがマックス状態で吹き出し、パーティー参加者たちはイジメに直接的には関わっていない人たちまで巻き添えとなり、復讐の炎に包まれてしまう。

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