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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 草野仁の知られざる亭主関白時代
『話す力』発売記念インタビュー

「家族サービスは小倉競馬場だった」“テレビ界最後の大物キャスター”草野仁の知られざる亭主関白時代

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草野 そうなんですよ。日本ではそのへんがまだまだで、圧倒的に彼我の差がある。「そこを埋めるためには、どうしたらいいだろうか? どうしたら我々の考えたことを、言葉に託して言えるようになるのか?」を考えていたら「そうだ、私自身が46年間放送の世界にいて培った、自分流の話し方や表現方法が使えるんじゃないか」と思ったのが、本書を書くきっかけになりました。

――草野さん自身、欧米人と差を感じた経験は何かありますか?

草野 経験ではないのですが、我々アナウンサーは大卒で入社すると、話すことの修練をさせられるんです。それで、ある程度そのスキルがついたところで「○○の番組で読め」と言われてアナウンサーとしてデビューするわけですが、欧米のテレビでは「アナウンサー」という職種はないんですよ。つまり、ちゃんと教育を受けた人は誰でもしゃべれるという考え方で、最初からブロードキャスターとして採用されるんです。そして、ニュースをただ読むのではなく、いろいろな問題や事件を自分で取材して、自分の考えで報道できるようなシステムになっているんです。

――そこまで、力量が認められているんですね。本書『話す力』は、さまざまな方のエピソードや、実際のスピーチなどを織り交ぜて、非常に読みやすく、分かりやすい内容でした。書くにあたって、気を配った点はなんですか?

草野 職業柄、いろいろな会場でスピーチを聞く機会が多いのですが、そこで実際に聞いて、すごいなぁ、いいなぁと感じたエピソードを紹介しようと思いました。プロゴルファー・石川遼選手が青木功選手へ贈った見事なスピーチ、映画監督の松山善三さんが結婚披露宴で述べた祝辞など、今でも一言一句思い出せるような印象深いエピソードを紹介しています。

――また本の中で、雑談力をつける方法として、ニュースや新聞などをチェックして一般的な話題を取り入れる「横軸」と、この話題ならいくらでも話ができるという「縦軸」のジャンルを日頃から勉強するようにしましょうと書いてらっしゃいましたが、草野さんの「縦軸」ってなんですか?

草野 仕事としてスポーツ放送を担当していて、実況中継でいえばNHK時代に30競技くらい担当したので、スポーツに関してはお話しできると思います。あとは、映画、音楽……のジャンルは限られるけど、古いタイプのジャズは、ある程度はついていけますね。それと、競馬が大好きなので、それはまったく話が尽きないくらいです(笑)。

――競馬といえば、本書でも触れてましたけど、家庭サービスで家族を競馬場に連れていったそうですね。

草野 ええ(笑)。家内に、何か家庭サービスをしろと言われましてね。最初は車で5分くらいの公園に連れていったんですよ。そしたら「あれは家庭サービスのうちに入らない」と言いだしましてね。“ああ、近いからダメだったんだ。じゃあ、今度はもう少し遠いところに行くか”と思いまして、当時は福岡にいたので、自宅から車で1時間のところにある小倉競馬場に、家内と家内のお母さん、息子2人を連れていったんですよ。

――時間の問題じゃないでしょう(笑)。まして、その頃の小倉競馬場なんて、女子どもの行くところじゃなかったと思うんですが……。

草野 今でこそキレイになりましたが、当時はね……。そんな中で、日よけも何もないベンチに家族を放り出して、自分は一日中馬券を買っているという(笑)。

――それは家庭サービスじゃないですよ。ずいぶん亭主関白だったそうですね。

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