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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > どうなるFC2著作権侵害訴訟

被害額は東京オリンピックの予算並み! 無法地帯「FC2動画」壊滅に向けて立ち上がったAVメーカーの熱意

 原告に名を連ねたのは、有限会社ビタミンエー・株式会社CA・ジャパンホームビデオ株式会社・株式会社ケイ・エム・プロデュース・有限会社プレステージ・株式会社桃太郎・SODクリエイト株式会社だ。7社はFC2の運営する「FC2動画アダルト」に各社が制作したビデオ作品35本が無断で公開されていることに対して、配信の停止と動画の削除および約6,500万円の損害賠償を求めている。

 「FC2動画アダルト」は無料でも視聴可能だが、回線速度や一日の閲覧本数には制限がある。ところが有料会員になると、快適な回線速度で無制限になるサービスも提供している。つまり、違法なアップロードを放置するどころか、それを利用して利益を上げてきた側面もある。まさに、著作権無視の総本山ともいえる存在に、アダルトビデオメーカーが率先して切り込んだ理由は何か。

 S1、ムーディーズ、SODクリエイト、アリスJAPAN、ケイ・エム・プロデュースなど、多くの原告メーカーが加盟しているコンテンツ・ソフト協同組合(CSA)の理事長は語る。

「きっかけは、アダルトビデオの業界5団体が協力して、知的財産振興協会での海賊版対策への取り組みを始めたことです。これまでは各団体、各メーカーともに海賊版対策についてはバラバラに実施していました。知的財産振興協会は、それでは海賊行為に十分な対策、対応が取れないことから、各団体、各メーカーが協力するために結成されたという経緯があります。協会の設立以降、対策を進めていく中で“FC2動画アダルトを何とかしたい”というのは、各社共通の思いだったのです」

 アダルトビデオ業界の「FC2動画アダルト」によって受けている被害額は、どのくらいになるのか。昨年、知的財産振興協会がFC2に対して行った削除件数は約9,500件。今年は9月までで約1万2,000件に達している(CSA会員だけではなく、IPPA加盟の他団体の審査済作品も含む)。

「21カ月間で合計2万1,500件、正規品DVDの1本販売価格を2,980円とすると、6,407万円の被害ということになる。これはDVD販売価格を基準として計算されていますので、正規の動画配信価格を基準とすれば被害額は変わります。しかし、違法動画で一番問題なのが、その再生、視聴された回数です。インターネットでの違法動画は、1人が視聴するのではなく、多くの人々が再生、視聴します。6,407万円という数字は、違法動画1件あたり1回しか再生、視聴されなかった場合の金額です。10回再生されれば×10、100回再生されれば×100、1,000回視聴されれば×1,000と被害額が跳ね上がります。知的財産振興協会で削除したFC2動画アダルトでの違法動画については、再生回数平均が約1万回。6,407万円×10,000回で6,407億円にもなるのです」

 2020年の東京オリンピックで東京都が想定している予算は約6,000億円。それと同規模の収益が、違法アップロードによって奪われているということになる。これは、決して見過ごすことのできるものではない。これまで、FC2に対しては動画の削除や、アップロードした人物の情報の開示を求める仮処分は行われてきた。しかし、FC2側は自社の責任を明確にせず、積極的な対応を行わなかったことでも、批判されている。今回の裁判では、初めてのFC2への損害賠償が含まれているが、「責任を取らせる」意味で効果は高い。

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