ミニコミが熱かった時代「平凡パンチ」1975年2月5日号 「ミニコミ第三世代に注目」
#雑誌 #出版 #昼間たかしの「100人にしかわからない本千冊」
この記事が掲載された1979年という時代、それは第一世代は消え去ったものの、第二世代はまだ残存。第三世代が、急激に勃興を始めた頃だったのだ。
この記事では真面目な第二世代も取り上げつつも、メインになるのは第三世代。記事中では、1979年当時には全国でミニコミ誌は5,000種も出ていると述べているが、その中で最も勢いがあるのは、マジメさも堅さもない。それまでの学生のメディアとは打って変わった第三世代のミニコミであったのだ。
そして、記事は次々と第三世代を象徴すべき妙なミニコミを紹介している。中でもイチオシで紹介されるのは同志社女子大の女学生による「奇女連」なるサークルが発行する「ナ・リマ・セヌ」なるミニコミだ(タイトルは、尼さんが濡れ場で「なりませぬ、なりませぬ」と声に出すところからと、ある)。記事によれば、この奇女連は、次のような女性の集合だという。
「平均年齢二十歳ほど/男の所持数 星の数ほど/信条 犬が西むきゃ尾は東/宝物 子宮/氏神 中山千夏+桐島洋子<泉ピン子/合言葉 普通の女の子はもうやめた」
……サブカル女子は、別に21世紀になって始まった存在ではないことを示す資料ではなかろうか。
ともあれ、若気の至りともいえる突っ走り方がすがすがしいミニコミには目を見張るものがある。上智大学の仲良し4人組の女のコたちがロンドンでパンクに目覚めて創刊したと紹介される「狂乱娼館」はまさに、それ。なんでも、パンクを本当に正しく伝えるミニコミだそうなのだが、
「だれでも人間なら言いたいことがあるのだから、かまわず発言しようってことが私たちのネライ。そして、パンクを通して日本のジャーナリズムがいかにくさっているか、身をもって挑戦したいンです」
と、発行メンバーはコメントしている。政治の季節が過ぎ去ってから10年を経ても、まだ何かの雰囲気が残っていたことを感じさせずにはいられない。今でも、ミニコミ誌が継続的に発行されている早稲田大学に触れた部分では、新しい号が出るたびにキャンパスに露店を出して販売していることが記されている。学生が露店を出して勝手に商売をやり始める──もはや、ガードマンがウロウロと巡回している管理された空間となった大学では考えられない光景であろう。
(文=昼間たかし)
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