トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > “天才”で“非情”な人間はどうやって生まれた? 映画『スティーブ・ジョブズ』が公開

“天才”で“非情”な人間はどうやって生まれた? 映画『スティーブ・ジョブズ』が公開

m0000000725.jpg(C)2013 The Jobs Film,LLC.

 芸術の秋もたけなわ、というわけで今月の新作映画は注目作、話題作りがめじろ押し。その中から今週は、カリスマ経営者の生涯を描くドラマ、痛快アクションのバディムービー、珍品にして怪作のB級ホラーの3本を取り上げたい。


 『スティーブ・ジョブズ』(11月1日公開)は、2011年に死去したアップル創設者の波乱に満ちた生涯を描いたドラマ。70年代、大学を中退し精神世界に傾倒しながらも無為に過ごしていたジョブズは、親友ウォズニアックが趣味で作っていたコンピュータに興味を持つ。2人は友人らと共に個人向けマシンの商品化に着手。自宅ガレージを拠点にアップルコンピュータを設立したジョブズは、77年に世界初の一体型パーソナルコンピュータApple IIを発表、大ヒットを記録する。会社は急成長し、若くして成功を収めたジョブズだったが、独断的で冷酷非情な経営手法は周囲との対立を生み、利益より理想を追求する姿勢に取締役会は危機感を抱くようになる。

 ジョブズ本人と外見の瓜二つぶりで話題のアシュトン・カッチャーが、今なお信奉者の多いカリスマ経営者を魅力たっぷりに、また時に憎々しく演じきった。監督は『ケビン・コスナー チョイス!』(08)のジョシュア・マイケル・スターン。IT業界を志望する人や起業を目指す人はもちろん、夢を実現したいすべての人に勇気を与えてくれる作品だ。

 『2ガンズ』(11月1日公開)は、グラフィックノベルを原作に、デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグの初共演で描くクライムサスペンス。麻薬取締局(DEA)の捜査官ボビー(ワシントン)と海軍情報部の将校マイケル(ウォールバーグ)は、互いの正体を知らないまま潜入捜査にあたり、麻薬組織から4000万ドルを奪取。だが、マイケルの上司の裏切りに遭い、大金を奪われてしまう。命まで狙われる羽目になった2人は事態を解決するため手を組むが、大金をめぐるDEA、海軍、麻薬組織、CIAの争いによっていよいよ追い込まれる。

 捜査官や将校とはとても思えない不良で荒くれな主人公コンビを、ワシントンとウォールバーグがノリノリで熱演。ガンファイトや格闘の派手なアクションから、皮肉の効いたジョークの掛け合いまで、テンポの良い演出でしっかり楽しませてくれる。監督は、ウォールバーグ主演作『ハード・ラッシュ』(12)も手がけた新鋭バルタザール・コルマクール。ほどよい緊張と興奮、爽快な後味を求めるならこの1本で決まりだ。

 『武器人間』(11月2日公開、R15+)は、ナチスドイツが禁断の人体実験を行っていたという奇想天外な設定で描く異色ホラー。第2次世界大戦末期、ソ連の偵察部隊がドイツの占領地区を調査し、古い教会の内部で死体の山と工場のような設備を発見する。地下通路の先に隠されていた広大な研究室では、ヒトラーの命を受けたフランケンシュタイン博士の孫が、死体と機械を合成して異形の「武器人間」を製造していた。

 オランダのCMディレクター、リチャード・ラーフォーストの長編初監督作。ナチスの陰謀やマッドサイエンティストの人体実験など、B級映画にありがちなネタの組み合わせではあるが、野暮ったいデザインが妙にユーモラスな「武器人間」たちのインパクトについ引き込まれてしまう。CGを極力使わず実物大のボディスーツを制作し、俳優たちに演じさせた点も監督のこだわり。『ドクター・モローの島』(96)、塚本晋也監督の『鉄男』シリーズなどマニアックな映画のファンにはたまらない珍作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『スティーブ・ジョブズ』作品情報
<http://eiga.com/movie/78309/>

『2ガンズ』作品情報
<http://eiga.com/movie/58262/>

『武器人間』作品情報
<http://eiga.com/movie/79080/>

最終更新:2013/11/01 21:00
ページ上部へ戻る

配給映画