甲子園の激闘から7年……楽天優勝の立役者・田中将大が歩んだ軌跡
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ピッチングフォームから、試合運び、球場の外での過ごし方など、田中は、岩隈から多大な影響を受けて成長。そして、2012年からは楽天を離れ、シアトル・マリナーズで孤軍奮闘する岩隈に代わり、田中が名実ともにエースの座に就任する。昨シーズンはケガなどに泣かされ10勝という例年に比べると振るわない成績に終わったが、今シーズンは破竹の勢いでペナントレースを爆進。その活躍を間近で見る小山伸一郎投手は、田中に生まれた変化を見る。
「昨季までは、打たれたら力んで、力でねじ伏せようとしていたのですが、2013年は力むこともなく、最終的にゼロで抑えてイニングを終えればいいと考えているようです。緊迫したゲーム展開でも、イニング間に気持ちを上手く切り替えていますし、まさに大人ですね。練習でも、私生活でも、全てにおいてメリハリが効いていますし、このメリハリが、ピンチを迎えてからギアを上げて抑える、マウンドさばきに繋がっていると思います」(『楽天イーグルス 優勝への3251日』角川SSS新書)
エースとして、1シーズンを乗り切ることは決して容易いことではない。それを実現するために、田中は緩急のリズムをつかんだ。その成長が、今シーズンの優勝につながったのだ。
2010年に、田中は「理想の投手像」を次のように語っている。
「やっぱり周りから信頼を得られて、『お前が投げれば勝てる』とか『お前なら任せられる』と思われるピッチャーになりたいですね。あとは、チームの流れが悪い時に自分でその流れを変えられるような、チームにとって影響力のあるピッチャーにもなりたいです」(『田中将大 ~若きエース4年間の成長~』小学館)
今、この目標が達成されたことは、誰の眼にも明らかだろう。甲子園の怪物から楽天のエースへ、そして日本球界のエースへと一歩一歩成長を続けた田中。かつては興味を示していなかったものの、現在、その眼はメジャーリーグをも視野に入れている。上原浩治、松坂大輔、ダルビッシュ有、そして先輩・岩隈久志らが活躍する本場・アメリカに飛び込み、日本のエースが世界のエースとなる日も近いかもしれない。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])
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