「ウケるようになって、戸惑ってる……」気鋭の女性コンビ・日本エレキテル連合の“コント道”
#インタビュー
――お2人がコントで演じるキャラは、しゃべり方などにもクセがあって、アクが強い人が多いですね。それはどうしてですか?
中野 最初はおとなしいんですけど、キャラを入れていくうちにだんだんおかしくなるんです。初めは普通だったのに、完成したら全然違う。
橋本 だんだん盛っていって、原型をとどめてない。最近はキャラを演じながら、お互いを笑わせようっていう感じでやってるので、楽しいですね。
中野 見ている人の中には原型の方が好きだったっていう人もいますね。最近はだんだんわけわからなくなってきて、抽象絵画みたいになってるので。
橋本 「最初こんなんだったっけ?」って言われます。
――ネタはどうやって作ってるんですか?
中野 いろいろなパターンがあるんですけど、衣装を着て鏡の前に立って、さあ、何しよう、って考える場合もあります。あとは、街を歩いていて「あの人、やりたいなあ」って思いついたり。
橋本 ネタは全部中野が書いてるんですけど、「このせりふが言いたい」っていうところから作っていったネタもあります。
――例えば?
中野 「政治家の愛人やるんだったら、本妻が訪ねてきたときにお茶出すぐらいの器量ってもんを持っときなさいよ」って啖呵(たんか)が切りたい、とか。私が政治家の妻という役柄でそのせりふを言いたくて、そこからネタを作ったりしましたね。
――ネタの発想はどこから来ているんでしょうか?
橋本 ネタが始まって板付き(演者が舞台に立っている状態)で明転(舞台が明るくなること)したときに「こいつら何やるんだろう?」って思わせるようなことを考えます。
中野 一番最初の印象でウケないと最後までウケないんです。最初に明転したときに2人を見て笑いが起きたら、だいたい最後まで行ける。
――ネタを見ているときのお客さんの反応はどうですか? 笑われる以外にもあります?
中野 悲鳴があがることもありますね。あと、「何やってんだ」という感じでにらみつけてくる人もいます。そういう反応には慣れてますけど。かといって、あまりに笑われるとこっちが戸惑うんです。笑ってくれるのはありがたいんですけど、自分たちも探り探りやってるので、ああ、こういうのがウケるんだ、とか思ったり。
――最近はテレビに出る機会も増えてますね。
中野 本当にありがたいんですけど、「世も末だな」って思います(笑)。私たち、ずっと「何してるの?」って言われてきて、全然ウケなかったのに。だんだん認められて、ウケるようになってきて、ありがたいんですけど戸惑ってます。私たちにみんなが合ってきてるっていうのが今度は怖くなってきて。逃げなきゃ、って思いますね。
橋本 何が目的なの?(笑)
――今後の目標はありますか?
橋本 とにかくコントで認められたいっていうのがあるので、「コントが面白いやつといえば、日本エレキテル連合」とみんなに認識されるようになりたいです。
中野 コントでは「見た目が中身を邪魔しない」っていうのを目指してます。見た目も中身のディテールも両方成立してるのって、歌舞伎ぐらいだと思っていて。それをやっている芸人さんがほかにまだいないので、できるようになりたいです。
(取材・文=お笑い評論家・ラリー遠田/撮影=名鹿祥史)
●にほんえれきてるれんごう
橋本小雪と中野聡子からなるお笑いコンビ。2007年結成。
https://twitter.com/elekitel_denki
http://ameblo.jp/elekitel/
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